仕組みを変えるには
ピーターの法則の経済の解体は、研修でどうにかなるものではない。構造の全面改修だ。そして出発点は、管理職に昇進する人の選抜にある。
その役職に必要な能力を備えていることを理由に昇進させるべきであり、それ以前の成果で昇進させてはならない。役割が人材育成を必要とするなら、その能力を評価することだ。曖昧さを扱う力が必要なら、その力を試すことだ。過去の成果は未来の判断力を意味しない。あたかも意味するかのような解釈は、やめるべきだ。
ギャラップのデータはこの点を明確に示している。現場での成果ではなく監督スキルで昇進させるとエンゲージメントは11ポイント上昇する。これは誤差ではない。機能するチームと惰性で動いているチームの差だ。
保護ネットワークを解体することだ。弱いマネジャーの能力不足を隠すために、周りを固めるのをやめることだ。職務をこなせないなら、配置転換するべきだ。同じように欠陥のある基準で選ばれて昇進した人たちを、分散することだ。ピーターの法則は、頂点にいる全員が同じやり方で昇進し、その出世街道を守る動機を持っているときに機能する。
個人の成果だけでなく、仕組みの設計に対してリーダーに説明責任を持たせたい。中間管理職が失敗したときは、こう問うべきだ。彼らはどのように選ばれて育成されたのか、どんな構造的支援を受けたのか。答えが「勤続年数で昇進させ、あとは自力で何とかさせた」なら、失敗は彼らだけの責任ではない。
昇進を精査する必要がある。次のリーダー昇進の前に3人集める。候補者、現在の上司、そして次のレベルにいる人だ。そして1つだけ質問するのだ。「候補者が次のレベルで成功するために、やめなければならないことは何か」
誰も具体的に答えられないなら、昇進基準は明確ではない。「何もない。今やっていることを続ければいい」という答えなら、ピーターの法則の次の犠牲者を作ろうとしている。
管理と昇進を切り離したキャリアパスを再構築する必要がある。実行に優れている人間が、必ずしも人を管理すべきではない。リーダーシップの責任を求められることなく、専門性の深化が報われるキャリアパスを作るべきだ。無能化する場所へ昇進させて、さらにそれを隠す仕組みを作るのではなく、価値を生み出せる場所に留まれるようにしよう。
ピーターの法則は、組織設計のバグではない。そこから利益を得る者を守り、それを指摘する者を罰する機能だ。
最も弱いリーダーのペースに意思決定が引きずられるたびに、それは起きている。イノベーションがリスクととらえ直されるたびに、そして責任が下層へ転嫁され、説明責任が経営層で滞るたびに起きている。
ピーターの法則を解体したいなら、まず1つの問いから始めることだ。「無能な管理職にその職を続けさせることで、実際に得をしているのは誰なのか」。その答えこそが、なぜ仕組みを変えるのがこれほど難しいのか、そして真の抵抗がどこにあるのかを正確に示すはずだ。


