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2026.01.22 11:00

ベネズエラの石油埋蔵量「世界一」が意味するもの

国営ベネズエラ石油(PDVSA)に設置された石油掘削装置を握る手の彫像。2026年1月5日撮影(Javier Campos/picture alliance via Getty Images)

2005~11年の間に、ベネズエラが公表する石油埋蔵量は800億バレル未満から3000億バレル弱へと4倍近くに増加したが、これに相当する規模の新たな油田の発見や生産量の急増はなかった。この急増は物理的なものではなく、主に統計上の変更によるものだった。

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しかし、第三者機関による推計は、公表埋蔵量と経済的現実との間の乖離(かいり)を浮き彫りにしている。例えば、ノルウェーの調査会社ライスタッド・エナジーは、ベネズエラの経済的に利益が見込める石油埋蔵量を約290億バレルと見積もっている。これは公表埋蔵量の10分の1程度に過ぎない。同社の見積もりは、生産にかかる費用や設備の条件、原油価格に関する現実的な想定を反映している。

ベネズエラが抱える別の問題

原油価格が統計上、生産を正当化するほど上昇しても、オリノコ原油は生産設備の問題という別の厳しい制約に直面している。

ベネズエラは石油を市場に流通させるため、エクソンモービルやコノコフィリップスといった世界的な大手石油企業が当初運営していた大規模な精製施設に依存している。ここで、超重質原油を輸出や精製に適した合成油に変換する。

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チャベス政権下で行われた2007年の強制収用後、これらの施設の多くは国有化され、維持管理が不十分なまま放置され、劣化が進んだ。時間の経過とともに技術的な専門知識や予備部品、資本投資が失われ、設備の信頼性と処理能力が急激に低下していった。

その結果、ベネズエラが「確認埋蔵量」として計上している石油の大部分は事実上行き場を失っている。つまり、書類上は存在するものの、大規模に処理・販売することができない状態にあるのだ。

原油価格の下落で縮小する石油埋蔵量

サウジアラビアの油田は原油価格が低迷していても採算が取れるが、ベネズエラの重質油は原油価格の変動に大きく左右される。

2014年と20年に原油価格が暴落し、1バレル60ドルを下回った際、オリノコ油田の大部分は確認埋蔵量として分類されるために必要な経済的基準を満たさなくなった。埋蔵量の定義を厳格に適用すれば、それらの埋蔵量は資源量に再分類されるべきだったが、修正されなかった。

この乖離は、ベネズエラの石油埋蔵量に関する主張の根本的な弱点を浮き彫りにしている。同国の公表埋蔵量は原油価格の高止まりや完全に機能する生産設備、継続的な大規模投資を前提としているが、こうした条件が同時にそろうことはまずない。

結論

ベネズエラは確かに豊富な石油資源を有しているが、誤解もある。同国の石油埋蔵量は、生産が容易かつ安価で確実なサウジアラビアなどの産油国の埋蔵量とは直接比較できない。

ベネズエラが石油埋蔵量で世界一に躍り出た背景には、原油価格の前提や会計上の定義、政治的動機が作用している。投資家は、地中に眠る石油と、収益性が高く安定的に生産可能な石油を区別して考えなければならない。ベネズエラに大量に存在するのは前者だ。同国の石油の大部分は依然として原油価格や生産設備、政策によって制約を受けている。ベネズエラの石油の「確認埋蔵量」が世界一だという状況は、適切に捉えなければ誤解を招き得る例として把握すべきだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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