ソルツと子どもたちは関係修復を試みたものの交渉決裂、提訴で法廷闘争へ
これら財団の唯一の受益者であるソルツは、自身の死後にこれらを子どもたちと慈善財団に引き継ぐつもりだったという。最初の変更は2022年に行われ、ソルツが「完全かつ恒久的に意思能力を失った場合」に、子どもたちが主要な受益者となる仕組みが導入された。だが同年11月、子どもたちと顧問団は、ソルツと4番目の妻クルカとの関係を初めて知った。2023年5月にソルツは、財団の一部の支配権を子どもたちに移したが、3カ月後には考えを変え、その措置を撤回した。
その翌年の2024年8月2日、事態は決定的な局面を迎えた。この会合の後、ソルツと子どもたちは関係修復を試み、5日間にわたってイタリアでの休暇を共に過ごした。しかし8月12日、協議は決裂した。翌月、ソルツがリヒテンシュタインで提訴したことで、争いは法廷の場に持ち込まれた。
ソルツは、自身が騙されていたと主張し、8月2日に何に署名していたのか理解していなかったとも述べている。また、その場には公証人や、日頃から相談している顧問の誰一人として同席していなかったとも訴えている。
この主張に対し子どもたちは、事実ではないと反論している。彼らは2024年12月にポーランド版フォーブスに送った声明で、「父は自分が何に署名しているかを理解し、自身の意思で署名した。父は当日、弁護士と何度も話をして、信頼する公証人もすべての手続きが適切に行われるよう立ち会っていた」と記していた。
この争いが表面化したのは、2024年9月下旬のことだ。ポーランド紙ガゼタ・ビボルツァは、ソルツの子どもが、彼の主要企業の幹部80人に宛てて書簡を送り、「父親と連絡が取れず、健康状態が悪化している」と警告したと報じたためだ。息子2人は、長年にわたり複数の関連会社で経営陣や取締役を務めてきたが、娘は事業に関与していなかった。
これについてソルツは、「そうした主張は完全な虚偽で、よく使われる手口だ。反対側に立つ人々が広めている言説にすぎない」と語る。ソルツはまた、かつて最も信頼していた顧問の一部が自分に背き、子どもたちを支持しているとも非難している。そのうえで、「私はCEOとしてはまだ若い。世界で最も成功し、高く評価されている経営者の中には、70代、80代まで第一線で活躍した人も少なくない」と強調した。
息子2人を取締役から解任、ソルツ自身も追われる身に
2024年10月、ソルツはCyfrowy PolsatとZE PAKの取締役会から息子2人を解任した。同じ月、リヒテンシュタインの裁判官は、ソルツの2つの財団を監督するため、新たに3人の理事を任命した。理事の選定は、ソルツ、子どもたち、裁判所がそれぞれ1人ずつ指名する形だった。
しかし翌年5月、流れは子どもたちに有利に転じた。リヒテンシュタインの裁判所が子ども側の主張を認め、支配権を子どもたちに移す宣言を無効とするよう求めたソルツの訴えを退けたためだ。ソルツは6月に控訴したが、その1カ月後、Cyfrowy PolsatとZE PAKの取締役会から自身も解任された。
「ここ数年に起きたことは、率直に言って、私が望んでいたことではない。しかし、最終的には裁判所が私の主張を認めてくれると確信している」とソルツは語っている。
4番目の妻を受益者に位置付けた新たな財団、資産移転の疑惑が浮上
フォーブスが確認した裁判資料によると、ソルツは8月と9月に、リヒテンシュタインで新たに2つの財団を設立したとされていた。子ども側の代理人は、4番目の妻クルカがこれら2つの財団の第二受益者であり、ソルツがポーランド、ギリシャ、イタリアの不動産に加え、フランス南部アンティーブにある自宅や自身のヨットをそれら財団に移転する計画だと主張している。ソルツは、これら財団の目的についてコメントを控えた。
この案件に詳しい関係者によれば、リヒテンシュタインでの本訴訟については、数週間から数カ月以内に判断が示される見通しだ。ただし、それで相続争いが終結するとは限らない。ソルツが勝訴すれば、子どもたちが控訴する可能性があり、子ども側が勝てば、ソルツが同国の憲法裁判所に申し立てを行う余地がある。
ソルツにとって、争点は資産だけではない。ポーランド全土で数千人の従業員を抱える事業帝国の将来も懸かっている。「父親として、家族の私的な問題が公になるのは残念なことだ。しかし、これは単なる家族間のもめ事をはるかに超える問題だ」と、ソルツはフォーブスに語った。
一方、子どもたちは、今も父親と話し合い、紛争を解決しようとしていると強調している。「私たちは、父と直接連絡を取り、健康状態が悪化していないことを確認することで、父の身の安全を確保し、友好的な形で争いを解決するための努力を続けている。私たちは、父の置かれた状況に対して、子どもとして当然のことをしているにすぎないと考えている」と、彼らはポーランド版フォーブスに送った声明で述べている。
双方が自らの勝利を確信する中、ポーランド有数の資産がどこに向かうかは、いまだ見通せない。


