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2026.01.22 17:00

東欧メディア王が息子・娘と「骨肉の後継者争い」、評価額4000億円の事業帝国の行方は?

Freedomz/Shutterstock.com

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ポーランド有数の富豪で、現在の純資産が25億ドル(約3950億円。1ドル=258円換算)のジグムント・ソルツ(69)は、3人の子を相手取った相続をめぐる争いと法廷闘争に直面してきた。ソルツは、自らの主張を裏付ける証拠を得るため、米国の裁判所に助けを求める動きに出た。

評価額約3950億円の“帝国”めぐり対立、3人の子どもとの訴訟が各国で激化

ポーランドの富豪ジグムント・ソルツは、2024年8月以降、評価額25億ドル(約3950億円)の同国最大級のメディアおよび通信グループ「Polsat Plus Group(ポルサット・プラス・グループ)」の支配権をめぐり、3人の子どもと激しい法廷闘争を繰り広げている。双方は複数の国の裁判所で訴訟を起こしている。

リヒテンシュタインで進行中の訴訟の証拠を米国の娘に請求、法的申し立て

その新たな展開としてソルツは、ロサンゼルス在住の娘アレクサンドラから資料を入手するため、カリフォルニア州で法的申し立てを行った。彼はこの資料を、リヒテンシュタインで進行中の訴訟の証拠に使おうとしている。ソルツは、同国で娘アレクサンドラ、ポーランド在住の息子ピオトル、ドバイ在住の息子トビアスを相手取り、事業帝国を所有する2つの非公開財団の後継計画をめぐって提訴した。

「私の願いは、生涯をかけて築いてきた企業の所有権とガバナンスを明確にして、安定をもたらすことだ。子どもたちに欺かれたことに心を痛めている」。ソルツは、フォーブスに宛てたメールでそう語った(電話取材には応じなかった)。

ソルツは、米国での法的手続きを通じて、子どもたちが自身の企業の支配権を奪おうとした計画の証拠を掘り起こせると考えている。子ども側は、この動きを父親がかつて示した財団の承継計画を覆すための、最新の試みだと受け止めている。

ソルツの申し立ては、「セクション1782ディスカバリー」と呼ばれる制度に基づくものだ。これは「係争中の外国訴訟に関連して、必要な情報がすべて開示されることを目的とした仕組みだ」だと、代理人の法律事務所Ropes & Grayの弁護士デービッド・B・ヘネスは説明する。

これに対し、アレクサンドラの代理人で、法律事務所Cadwalader, Wickersham & Taftのマーティン・ワインスタインは、「カリフォルニアで新たな訴訟が始まったわけではない。今回の手続きは、あくまでリヒテンシュタインで係争中の訴訟に関連する証拠開示に限られる。第1審ではすでに子ども側の勝訴が言い渡され、不正や欺瞞はなかったと明確に認定されている」と強調する。その上で彼は「父親がこのような形で娘を攻撃しているのは、非常に悲しいことだ」と述べている。

父ソルツの動きは「最後の悪あがき」、子ども側が反論

子ども3人は、この動きが父ソルツの敗色濃厚な争いを覆すための「最後の悪あがき」だと考えている。2019年にロサンゼルスのノースハリウッドに移り、動物保護施設Pawsitive Beginningsを運営する娘アレクサンドラの代理人マチェイ・シュルサレクは、「これは、主たる審理の場であるリヒテンシュタインでの訴訟の結果から目をそらそうとする試みにすぎない。第1審は、主張されていた不正が存在しないことや、相続計画が有効であることが確認された」と述べている。

国外での訴訟に使う証拠を米国で収集する動きは、近年ますます一般的になっている。法律事務所Quinn Emanuelの弁護士で、セクション1782の専門家でもあるルーカス・ベントによれば、相続紛争でもこうしたケースが増えているという。「こうした事案は確実に増えている。事実を掘り起こし、真実の全体像をより確かなものにするための有効な手段だ。米国は、証拠開示制度の自由度が非常に高く、この仕組みは極めて有効に機能する」とベントは述べている。

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翻訳=上田裕資

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