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2026.01.22 15:00

AIブームに乗り切れない「データセンターREIT」、その弱点と希望とは

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建設遅延リスクと電力・立地の壁

リスクは、負債だけにとどまらない。数十億ドル(数千億円)規模のデータセンター契約の中には、建設の遅延などの「予測不能な要因」を理由に、テナントが当初の合意より早く契約を解消できる早期解約条項が盛り込まれているケースもある。こうした事態は珍しくない。JLLによれば、2025年に進められたデータセンタープロジェクトの半数以上で、3カ月以上の遅延が発生した。マイクロソフトとメタはいずれも、こうした条項を実際に行使したと報じられており、コアウィーブも第3四半期の業績未達について、「建設の遅延が原因だった」としている。

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上場データセンター企業も、現在のAIインフラ建設をとりまく課題と無縁ではない。最大の問題の一つが電力だ。送電網の容量不足で、十分な電力を確保できないケースが相次いでいる。「電力を供給できない空のデータセンター棟を抱えることになれば、リターンは押し下げられる」と、モーニングスターのジアレリはフォーブスに語っている。これらを総合すると、REITの株主にとっては、割に合わない投資に思えてしまう。

中核市場への固執と遠隔地でのAI構築

REITはまた、バージニア州北部やロサンゼルスなどの中核市場に固執し、未開発の遠隔地での土地取得を避けてきた。その慎重な姿勢も、成長の足かせになっている。だが、バンク・オブ・アメリカのファンクは、「AIが実際に構築されているのは、巨大なスーパーコンピューターを収容できる十分な土地がある場所だ」と指摘する。すでに過密化した都市部では用地を確保できず、事業を指数関数的に拡大できないからだ。エクイニクスの売上高が昨夏にアナリストへ示した見通しを下回り、デジタル・リアルティでもAI関連ワークロードからの収益が減少している背景には、こうした事情がある。

AIモデルを「作る」段階から「動かす」段階への移行は好機をもたらすか

もっとも、ここには好機もある。AIの計算処理の重心は、モデルを「作る」段階から「動かす」段階へと移りつつあり、そのためにはより高い速度と帯域が求められる。都市部のデータセンターは、AIを利用する顧客から物理的に近く、地方のデータセンターよりも優れた光ファイバー網へのアクセスを確保している。こうした点は、今後エクイニクスやデジタル・リアルティにとって追い風になり得る。

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速度と接続性に注力してきたエクイニクス、テック大手と連携

なかでもアナリストは、エクイニクスに強気だ。同社は、速度と接続性に極端なまでに注力してきた点から、AIモデルの運用に最も適しているとみられている。エクイニクスはすでに、アマゾンやオラクルといったテック大手と組んでデータセンターを次々に建設するxScale事業を急速に拡大している。「彼らがかなりのスピードで方向転換しているのが分かる」と、JLLのクベングロスは語っている。

暗号資産マイナー向けだったアプライドデジタル、大口AI顧客向けに舵を切り急成長

そのため、これらの上場データセンター企業を見限るのは時期尚早だ。需要は極めて大きく、現在のブームの中で、より大きな存在感を示す余地は十分に残されているからだ。その好例が、かつては暗号資産マイナー向けのデータセンターホスティング企業だったアプライドデジタルだ。同社は2023年、少数の大口AI顧客向けにデータセンターを建設する事業へと大きく舵を切った。その結果、直近1年間で株価と売上高はいずれも3倍に伸び、時価総額は100億ドル(約1.6兆円)に達した。ただし、その実現に向けては、相応のリスクを取り、50億ドル(約7900億円)の資金注入を行う必要があった。

いずれは腹をくくった賭けに出る必要がある

失敗した場合の影響がより大きく、株主にもそうした大胆な賭けを受け入れる余地がないREITにとって、道のりはより険しい。REITは、追加の資本を調達しながら、大きな投資判断に伴うリスクを適切にヘッジする必要がある。本当の意味でAIブームの果実を手にするためには、いずれは腹をくくった賭けに出る必要がある。そうでなければ、スピードがすべてを左右するAI競争の中で、追いかける立場に居続けることになる。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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