日本から原資調達、現地で運用
HAKKI GROUPの成長を支える強みは何か。小林は次のように話す。「僕らのエコノミック・モート(経済の堀)のひとつが、世界でも最低金利である日本の金融機関から貸出原資を調達していること、機械化・自動化により固定費を他社の4分の1に圧縮したことで、他社よりも20〜30%以上低い金利で提供できていることです。巨大な資金が眠る日本から資金調達して、ケニアをはじめグローバルサウスで運用するというのは非常に大きな強みになります」。
貸出原資は、平均金利7.1%程度で、ファルス、SBIグループ、ブルー・トパーズ、北國銀行、商工組合中央金庫などから調達。「日本の金融機関からの調達には『黒字化』が不可欠。赤字を掘りながら一気に市場拡大するというスタートアップのアプローチができなかった。よく言えば『OPEX(運用コスト)の圧縮』ですが、いわゆるドケチ(笑)。3年前の決算から黒字でした」。
そこからどのような心境の変化で、他国への展開へと舵を切ったのか。小林は素晴らしい起業家たちとの出会いをあげる。「Boltの創業者なんて、設立13年で時価総額1兆円超えの企業になっています。そういう人たちに会っていくとネジが外れる。『縮こまっていてもしょうがないな』と。私自身のエモーショナルな変化も大きいですね」と小林は話す。そして、25年、Boltによるタクシードライバー数が多い南アフリカと、マイクロファイナンス祖業の地であるインドへの展開を開始。そして、小林はケニアからインドの地へと赴き、インドの「コンテナ」オフィスを拠点に活動している。
「ここでもドケチを継続しています(笑)。そして、僕らのもうひとつのエコノミック・モートは、オペレーションエクセレンス。徹底的に現地の需要を聞き、アジャイルに、スクラッチでタクシードライバー向けの金融サービスを立ち上げています。ケニアと南アフリカ、インドのサービスモデルは異なります。良質な金融サービスには、顧客が求めているほうへ寄り添いながらアジャストすることが必要不可欠だと思っています。それらを真面目にやり抜くことが他社にはない強みにもなりますから」
HAKKIの社名はケニアの公用語であるスワヒリ語で「フェアネス、インテグリティ」を意味する。真面目という日本の当たり前が武器にもつながっているという。HAKKI GROUPでは現在、新たに展開を始めたインド、南アフリカでも事業の黒字化を実現し、さらにタイをはじめ、多国展開を加速させる。現在の貸出実績累計35.1億円に対して、26年は約50億円の積み増しを計画。狙うは、史上初のアフリカ発日本でのIPO(新規株式公開)だ。小林は最後にこう話す。「グローバルサウスで信用不足でローン審査に通らない18億人へのインパクト創出を通じて、歴史をつくる当事者に、我々はなります」。
HAKKI GROUP◎2019年3月設立。アフリカ・ケニアで、独自の信用スコアリングシステムを用いた、タクシードライバー向けの中古車マイクロファイナンス事業を展開。インド、南アフリカにも進出。グローバルサウスで「誠実な努力が報われる社会」を目指している。


