WOMEN

2026.01.26 11:30

WISER統括・土井ゆりか 女性研究者支援に革命を起こす

土井ゆりか|tayo執行役員/WISER統括

土井ゆりか|tayo執行役員/WISER統括

現在発売中のForbes JAPAN1月23日発売号の第三特集は、テクノロジー領域で世界を変える女性、ジェンダーマイノリティ30人に注目する「Women In Tech 30 2026」。『Forbes JAPAN』では2024年から同企画を開始し、26年は2回目となる。19人のアドバイザリーボードからの推薦をもとに選出した30 人に光を当て、女性、ジェンダーマイノリティたちのエンパワーメントとともに、同領域における次世代のロールモデルが見つかるような企画にしていくことを目標にしている企画だ。世界的に遅れていると言われるなか、転換期を迎えている日本で躍動し、その主役とも言える活躍をしている30人を紹介する。


東京大学機械情報工学科を卒業後、アメリカへわたり、ハーバード・メディカル・スクールで神経生物学の博士号を取得した土井ゆりか。大好きな研究とは裏腹に、常に「マイノリティ」として社会への違和感を覚えてきた。学部時代、工学部機械系の女性の比率はわずか5〜6%。女性の存在を想定していない環境や差別的な発言に直面した。

感覚過敏の特性があり、不登校も経験。今でも人の多い場所は苦手だ。アメリカの大学院生活では、コロナ禍の中、体調不良に見舞われながらも博士論文を書き終えた。同時に、アカデミアの権威主義的な世界に違和感を覚え、いったん離れることを決意。地元・大阪で就職活動を始めたが、難航した。

いったい「働く」とはどういうことなのか。自分を切り売りすることなのか、と思い悩んでいたときに出合ったのが、研究者向け求人プラットフォームを開発・運営するtayoだ。インターンとして参画後、役割を広げ、1年後には執行役員に就任した。

「そもそも博士課程に行くことは、人と違う選択をし、ユニークな経験をもつということ。そして博士論文自体が、誰も取り組んだことのない問いに向き合い、新しい知見を社会に提示する営みでもあります。その経験が評価され、博士人材が社会の様々な場で活躍できれば、イノベーションの可能性はさらに広がるはずです。とりわけ女性研究者が、専門性や好奇心を起点に、安心して挑戦できる選択肢を増やすことが、いま自分が取り組んでいる仕事そのものです」

女性研究者たちを横につなげる

2024年10月には、女性研究者のコミュニティと起業支援を行うWISERを始動。Discordコミュニティとイベントを通じて、分野や所属を超えた女性研究者同士の横のつながりを創出。さらに、東京都からの支援を受け、起業を目指す研究者には最大500万円のGAPファンドとハンズオン支援を提供する。

ニッチなディープテックのなかでも、さらに少数派である女性研究者は、相談相手も見つからず、孤独に陥りやすい。現在、WISERには250人が参画。25年6月に開催した合宿には約50人が参加し、大きな手応えを感じた。「元々色んな研究者の話を聞くのが好き。社会実装や、ほかの研究者とつながって社会に貢献することに興味がある人が、こんなにもいるんだと実感しました。女性研究者たちの交流と挑戦を通じて、革命(Revolution)を起こしたいと思っています」

文=岩坪文子 写真=藤原 慶

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