リーダーシップ

2026.01.27 14:00

ソフトスキル時代の終焉か──これからのリーダーシップを「財務」が定義する理由

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過去10年間というもの、リーダーシップに関する議論はソフトスキルが中心だった。共感力。弱さを見せる勇気。心理的安全性。こうしたシフトには大きな意味があり、リーダーシップをより人間味あるものにした。

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しかし、経済的な圧力が強まるなか、厳しい現実が浮上している。ソフトスキルだけでは、長引く財務的ストレスを乗り切ることができない。乗り切ることができるのは、財務的なリーダーシップによってだ。

キャッシュ(現金)が底をつきかけているとき、市場は、あなたにどれほど共感力があるかなど気にしない。利益率の低下で、チームをやる気にさせることはできない。そして、断固とした財務的行動が必要なときにためらうリーダーを、企業文化が補うことはできない。次の時代のリーダーシップは、多くのリーダーが学んだことのない能力によって定義されるだろう──それが、財務的なリーダーシップだ。

誰も口にしたがらない、リーダーシップのギャップ

現在、多くの経営幹部は、優れたコミュニケーション能力と人材管理能力を持つ一方で、財務上の意思決定には苦手意識を抱いている。そして、CFOや会計士、あるいは十分に理解していないダッシュボードに大きく依存している。そうしたものへの依存が機能するのは、状況が不安定化するまでだ。

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経済の不確実性は、このギャップを露呈させる。価格設定の誤りが積み重なる。採用判断が長引く。「もっと多くのデータ」を理由に、投資判断が遅れる。リーダーはプレッシャーを感じるが、財務上のシグナルを、断固とした行動に常に移せるわけではない。

これは、能力の問題ではない。リーダーシップ育成の問題だ。

ソフトスキルだけでは、プレッシャーの下で失敗する

共感力では、キャッシュフローは改善しない。透明性は、価格規律(pricing discipline:価格戦略の厳格な運用)に代わるものではない。そして協働は、不完全な二択において、どちらかを選ばなければならない現実をなくすものではない。

リーダーが財務リテラシーを欠くと、不確実性が停滞を生む。決断は、確証が得られるまで先延ばしにされるが、現代の経済に確実性はほとんど存在しない。その結果として生じるのが、受け身のリーダーシップだ。つまり、戦略なきコスト削減、利益率を無視した成長施策、そして、長期的な脆弱性を生む短期的な対策といったものだ。

コンサルティング企業PwCによれば、財務上の不確実性は、経営幹部の主なストレス源であり続けている。そうしたストレスは、知性の欠如から生じるのではなく、財務的なリーダーシップ能力の不足から生じる。

財務的なリーダーシップとは、実際には何を意味するのか

財務的なリーダーシップとは、会計士になることや、報告書を細かく管理することではない。スプレッドシートに固執したり、財務の専門的なルールをすべて覚えたりすることでもない。それは、データの中で本当に重要なことを理解するという意味だ。

財務的なリーダーシップとは、以下のような能力を指す:

・成果を左右する指標を特定する 
・それらのシグナルが、ビジネスにとって何を意味するのかを解釈する
・完璧なデータを待たずに決断する
・断固とした行動をとり、その後、エゴを捨てて振り返る。

つまりそれは、財務的な現実に基づいた意思決定型のリーダーシップだ。

財務的なリーダーは、判断を外部に丸投げしない。彼らは助言者を、責任を肩代わりさせるためではなく、情報源としてのみ活用する。

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翻訳=米井香織/ガリレオ

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