たいていの人は、血と聞くと、生温かい鮮やかな深紅の液体を思い浮かべる。だが動物界には、数こそ少ないが、この予想を裏切る変わり者たちがいる。酸素を全身に運ぶために進化が編み出したあらゆる戦略の中でも、青い血はひときわ興味深い例だ。
そして、これはあまり知られていないことだが、青い血を持つ生物のすべてが、珍しい存在だとはかぎらない。海の深淵で暮らすものもいれば、あなたの家の庭で見つかりそうなものもいる。以下では、青い血を持つ動物たちを紹介し、それぞれの種について、進化の観点から「青い血を持つ利点」を解説していこう。
なぜ青い血なのか?
それぞれの種の説明に進む前に、青い血を持つとは実際のところどういうことなのか、その謎を解いておこう。
私たちの血液は、大部分がヘモグロビンで構成されている。ヘモグロビンは、鉄を利用して酸素を結合させる。これが、たいていの脊椎動物の血を赤い色にしている。一方、ヘモシアニンは銅を利用する。酸素がないときのヘモシアニンはほぼ無色だ。ところが、ひとたび酸素と結合すると、銅が酸化され、青い光を反射するようになる。これが、鮮やかな青空のような色味を血に与える。
『International Journal of Biological Macromolecules』に掲載された2024年の論文で説明されているように、赤血球の中に含有されているヘモグロビンとは異なり、ヘモシアニンは、細胞の中に含有されているのではなく、血液に相当する無脊椎動物の体液中で遊離していることが多い。こうした自由に浮遊する配置と、銅の化学的特性は、ヘモグロビンであれば対応が難しいであろう深海や穴の中のような低温・低酸素環境において、ことのほか効果を発揮する。
ヘモシアニンは、特定の条件下で最もよく働くため、青い血は、特定の生息環境を示す生物学的なサインになることが多い。その存在は、動物の進化の歴史、その動物が好む温度範囲、利用できる酸素の量を示唆している。
だが、さらに驚くことがある。青い血は、自然界のいたるところに生息するさまざまな種において、頻繁に個別に進化してきたのだ。節足動物と軟体動物では、同じ環境上の制約を解決するものとして、ヘモシアニンが何度も繰り返し出現した。この事実は、うまくいったものが繰り返し使われるという進化の傾向を浮き彫りにしている。
それでは、この驚くべき適応を遂げた5つの動物を紹介しよう。



