報復関税による約9196億円の損失が発生、世界への輸出全体も減少
中国は関税への報復として2018年に大豆を標的に米国からの輸入品に関税を課し、その前の年の2017年以降、米国産大豆の中国への販売は70.27%落ち込んだ。損失額は58億2000万ドル(約9196億円)相当で、大きな穴を残した。
同時に、米国大豆の輸出全体は19.11%、額にして29億9000万ドル(約4724億円)減少しながらも、必要に迫られた結果として他の市場では伸びを見せている。
エジプトがシェア10%を突破し、記録的な輸入額を達成
エジプトは現在、米国産大豆の世界第3位の買い手となっている。昨年の輸入額は10月までに過去最高水準の計14億2000万ドル(約2244億円)となり、シェアは11.22%と初めて10%を超えた。
日本、ドイツ、インドネシアのシェアはいずれも6%超だ。上位10カ国・地域の残りは台湾、バングラデシュ、パキスタン、ベトナムで、この4カ国のシェアはいずれも3〜4%だ。
8〜10位の3カ国のシェアはエジプトと同様、過去最高水準に達している。
インドネシアの6.03%は2024年の年間輸入量に次ぐ水準であり、ドイツの6.29%は2023年の6.55%に次ぐ。
それでも中国が残した穴は残っている。2017年の1〜10月には上位10カ国が全体の86.87%を占めていたが(主に中国だ)、2025年の同期間の割合は78.95%にとどまっている。
ドイツやベトナムなどへの輸出が倍増し、新たな市場が拡大へ
米国大豆輸出協会のマネージングディレクターであるロザリンド・リークは「中国が世界最大の輸入国であるのは明白だ」と話す。「だが中国以外の地域は成長している。世界各地に大きな機会がある。中国でも需要はまだ増えているが、その増加率は鈍化している」。
2017年以降、米国からエジプトへの輸出は390.34%増加した。ドイツ向けは103.79%増と2倍以上となった。ベトナム向けは73.61%増、パキスタン向けは46.32%増、バングラデシュ向けは31.19%増となっている。
米国の大豆生産はイリノイ州やアイオワ州に集中し、さらにミネソタ州やインディアナ州、ネブラスカ州でも栽培されており、拡大する市場は大豆農家に希望をもたらしている。農家は通常、トウモロコシや綿花、小麦などの作物との輪作で大豆を栽培している。
米中の貿易対立は世界の大豆の流れを作り替え、米国の農家と輸出業者は輸出先の拡大を余儀なくされた。中国の輸入減は明白な穴を残したが、エジプトやメキシコといった新たな市場がその穴を埋める助けとなっている。新規需要の開拓を進めるだけでなく、各国との戦略的な農業関係を強めることにもつながっている。調整に痛みを伴っているとはいえ、圧倒的な買い手である1カ国に依存するという時代はより回復力のあるものへ移行しつつあるのかもしれない。


