EPIC:電磁的阻止
ベネズエラの警護員とされる人物は、自分たちを打ち倒した兵器を音波によるものと推測しているが、まったく別のものだった可能性もある。
筆者は2008年、米海兵隊との契約に基づき「電磁人員阻止制御(EPIC)」という特許取得済み装置に取り組んでいた開発者たちに話を聞いたことがある。
契約によると、EPICは電波を用いて「人間の聴覚と平衡感覚の正常なプロセスを刺激し、妨害する」ものとされる。事実上、内耳にある微細な毛がラジオアンテナのように機能する。この手法が有用とされた理由のひとつは、音波と異なり、電波は壁などの障害物を貫通して作用する点だ。
具体的に言えば、EPICは平衡感覚を司る前庭系を一時的に機能不全に陥らせることを狙う。前庭系が機能しなくなると、目標の人間は歩くのはおろか、立っていることすらできなくなる。眼球運動の制御も影響を受ける。部屋がぐるぐる回っているように感じる不快な感覚は、前庭系の異常によって生じるものだ。影響を受けた者は、まっすぐものを見ることすらできなくなるかもしれない。
特許によれば、EPICは「対象者が逮捕や制圧に抵抗する力を一時的に失うのに十分な無力化」を引き起こすとされる。「電磁エネルギーの照射を停止すれば神経細胞や周囲の組織に損傷は残らない。ただし、重度の乗り物酔いのような二次的効果や、無力感といった心理的影響は、対象者の体内の化学バランスが正常に戻るまで持続する」という。
筆者が開発者たちに話を聞いた時点では、彼らはまだチンチラを用いた実験を行っている段階で、次の段階としてラットを用いた実験への移行を計画していた。ラットには餌を報酬としてコースを移動するように訓練を施したうえで、EPICがラットの移動を妨げられるかどうか検証するとのことだった。説明によると、このように手の込んだ実験設計が必要だったのは、ラットは前庭系が機能しなくなってもじっと動かなくなるだけで、外見上ほとんど変化が現れないからだという。二足歩行の人間と違って、ラットは倒れたりはしない。


