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2026.01.29 16:00

知と創造で未来を拓くための「産業アーキテクチャ」

人工知能(AI)の進化・浸透や気候変動といった社会構造を揺るがす変化のなかで、経済的な「価値」は従来の産業の垣根を超えてダイナミックにシフトしている。

こうした激動の時代に対応して価値を創造していくために、PwC Japanグループはビジネスの戦略策定のベースとなる「産業アーキテクチャ」という概念を活用し、各サービス分野の施策に反映している。そこにはどのような狙いがあるのか。PwC Japanグループのチーフ・ストラテジー・オフィサー(CSO)兼チーフ・イノベーション・オフィサー(CIO)である桂 憲司に聞いた。


2025年12月に丸の内で開催された、社会や経済の未来をアートによるビジョンメイキングを交えて考える「FUTURE VISION SUMMIT 2025」のKEYNOTE SESSION「知と創造が拓く未来」では、東京藝術大学学長・日比野克彦、東京大学総長・藤井輝夫とともに議論を深めた。本稿ではビジネスとアートの接点にも目を向けつつ、産業アーキテクチャが切り拓く未来を考察する。

「FUTURE VISION SUMMIT 2025」KEYNOTE SESSION「知と創造が拓く未来」の様子。右から[AO3] 、経済キャスター・瀧口友里奈、東京藝術大学学長・日比野克彦、東京大学総長・藤井輝夫、PwC JapanグループCSO兼CIO・桂 憲司。
「FUTURE VISION SUMMIT 2025」KEYNOTE SESSION「知と創造が拓く未来」の様子。左から、経済キャスター・瀧口友里奈、東京藝術大学学長・日比野克彦、東京大学総長・藤井輝夫、PwC JapanグループCSO兼CIO・桂 憲司。

変化の時代に一石を投じる「産業アーキテクチャ」という価値の見取り図

産業は「価値」の連携と変遷によって形づくられている。例えば製造業では、原材料を調達し、加工して製品をつくることで価値を生み出し、販売する際にはキャンペーンなどを通じて価値を高める工夫を重ねてきた。

しかし現代は、モノとサービスの境界や産業同士の垣根が低くなっている。そこにデジタル技術が加わったことで、個別の製品や企業単体の最適化だけでは解けない課題が急増している。従来のバリューチェーンを追いかけるだけでは、価値の変遷を追い切れない局面が増えているのだ。

こうした複雑化した時代において、企業が継続して価値を向上させるには何が必要なのか。その問いを解決に導く“道具”としてPwC Japanグループが活用するのが、ビジネスの中心的な概念ともいえる「産業アーキテクチャ」である。

「私たちは産業アーキテクチャを、産業のなかに存在する価値を正確に捉えるための“地図”のようなものだと考えています。産業のなかにある価値がどこで生まれ、誰と誰がどうつながって動き、これからどう組み変わっていくのかをデータで捉え、産業全体の見取り図にしたもの、と捉えていただくとよいかと思います。

ポイントは、売り上げや工程だけでなく、人材の優秀さやネットワークの広さ、企業の効率性といった数値化しにくい価値、さらには法規制や国際ルールなど外部要因が左右する価値までを精緻に追い、データとして構造化する点にあります。それにより、産業とそれが内包する価値が将来どのように連携し変遷していくかを捉えることができるのです」

そして、この地図上で企業が自社の強みを把握し、向かうべき領域を見定めるうえでの優先テーマとなるのが、PwCがグローバルで定めた4つの戦略領域、「Trust in What Matters(重要な社会課題における信頼構築)」「Business Model Reinvention(ビジネスモデルの再発明)」「Sustainability(持続可能性)」「AI(人工知能)」である。

「4つの領域に基づき、関連産業がどうつながり、どう変化していくのかを把握していくために産業アーキテクチャを活用する。そうしたアプローチを取ることによって、私たちはより実践的かつ実効的にクライアントを支援できると考えています」

「動詞」を手がかりに産業の変化を捉える

産業アーキテクチャの全体像は、社会やユーザーの要望・課題を解決する「ミッションアーキテクチャ」、ミッションを実現する機能としての「ファンクションアーキテクチャ」、それらを支える「オペレーティングモデル」の3層で構成される。発想から実装、運用までを一貫で構造化し、産業の混ざり合いが進む世界においても、企業の変革を“実装可能な形”に組み立てていく。

重要なのは、この一連の設計プロセスがアートやデザインの世界と深く関わっているという点だ。桂は「機能やオペレーションを考える前に、人は何を求め、どんな未来が起こりうるのかを想像しきらなければ、良い設計は生まれない。とりわけ最上位層に位置付けられるミッションの議論においては、常識の枠を逸脱し、ゼロベースで創意を凝らすアートの考え方を取り入れることが重要になる」と語る。

その実践として、PwCでは「動詞」で産業の変化を捉えていくという。

例えばモビリティ産業では、単純に自動車の安全性能だけでなく、“ライフそのもの”を創造する10年後の生活や景色が描かれ始めている。車に乗って「何かを感じたい」「楽しみたい」「新たな社会インフラをつくりたい」といった、人の欲求や願望、感じ方を手がかりに、産業同士がどう接続し、変化していくのかを予測していく考え方だ。

「人間の“動詞”に応えようとすると、自動車メーカー単体ではビジネスは完結しません。エネルギーや都市開発、エンターテインメントなど、産業の垣根を超えた連携が必要になる。そしてそれは他産業も例外ではありません。コンサルティングファームとしてデータを揃え、ロジカルに変化を予測するのはもちろんですが、加えて、変化を捉える力として『考える知』だけでなく『感じる知』を重ねることが重要になると思います。動詞は、まさにこの“感じる知”を言語化するための取っかかりになります。

ただミッションの層には、まだ『言語化できない』『わからない』領域も含まれます。私たちは、それを“曖昧さ“として切り捨てるのではなく、“可能性”として捉えます。例えば隣接産業が出合ったとき、評価軸も言葉も違い、『この世界はよくわからない』と感じる感覚のなかにこそ、新しい価値の芽がある。それをどう接続していくかを構想するときに、創造性を飛翔させ、未来に新しい視点を提示するアートやデザインの思考が大事になると考えています」

魅力的なストーリーは「深く、広く考える」過程に宿る

「知と創造が拓く未来」をテーマにした「FUTURE VISION SUMMIT 2025」の対話において、象徴的だったのが「穴を掘る」というメタファーだ。東京大学と東京藝術大学の共同プロジェクト「浅野キャンパスに美しい穴を掘る」という話題を受け、桂はビジネスの文脈から「深い穴を掘ろうとすると、広さが必要になる。深く考えることは、広く考えることにつながる」と語った。

では、なぜビジネスにおいて「広さ」が必要なのか。桂は、その本質は「ストーリー」にあると強調する。

「アート作品が人々を魅了するのは、最終的な作品の美しさにとどまらず、その裏側に、なぜつくったか、どう生まれたか、というストーリーがあるからです。問いを立てる、リサーチと分析を繰り返す、そして迷うことも含めて試行錯誤するうち、やがてひとつの形が立ち現れてくる。ビジネスも同じです。提供する製品やサービスが選ばれるかどうかはその裏側に多くの人が共感できるストーリーがあるかどうかにかかっています」

かつてのように機能を追求していればよかった時代は過ぎ、個人の欲求や社会課題への意識は、より多様化すると考えられる。これらを束ね、ビジネスとして成立させるには、深く、広く考え、時代の変化の兆しや価値観の揺らぎを捉えるプロセスが不可欠なのだ。

「一方で、ビジネスには時間という制約があり、創造性を発揮して広げたあとは、目的を定めて収束させ、プロダクトに落とし込むフェーズに切り替えなければなりません。『広げるフェーズ』に対して『畳むフェーズ』という言い方をしますが、その両面をもつことはとても大事です。ただ、広げ方が弱いとやはりいいものはつくれません。アーティストがもつ感度だけでなく、仮説検証の思考法においても、アートから学ぶべき価値があると感じています」

こうした観点から、「今後は人材教育の面でもアカデミアとの連携を強めていく」と桂は語る。

PwC JapanグループCSO兼CIOの桂 憲司
PwC JapanグループCSO兼CIOの桂 憲司

「産業アーキテクチャ」を具現化するための戦略的な体制

産業アーキテクチャという概念を社会実装するために、PwC Japanグループでは以下のような戦略的な体制を整備している。

(1) スマートモビリティ総合研究所(2025年2月設立)

急速な拡大が見込まれる世界のモビリティ市場。そのけん引役として期待されるスマートモビリティ産業には、デジタルを中心とした異業種プレイヤーが参入し、多種多様なビジネスやサービス階層が生まれることで新たなエコシステムが形成されつつある。本研究所では、産業・機能横断のエキスパートが将来のスマートモビリティの産業アーキテクチャを設計し、ノウハウやデータを有効かつ効率的につなげて活用できる環境を構築することで、より大きな価値創出を目指している。

(2) AI Factory(2025年10月発足)

技術進歩の速いAI分野において企業はどう差別化を図っていくのか。PwCの出した答えのひとつが「ラピッドプロトタイピング」だ。AI Factoryは、専門家チームがAIを使ってアイデアを高速で試作・実装し、クライアントの需要に迅速に応える体制を整える。膨大なデータのなかから価値あるものを選び抜く「目利き」の力と組み合わせることで、クライアントの変革を後押しする。

(3) PwCビジネストランスフォーメーション合同会社(2025年7月設立)

一般的なマネージドサービスは企業の業務の一部を効率化することが中心となる。一方、PwCが取り組むマネージドサービスでは「信頼」を何よりも重視する。単なるサービス提供にとどまらず、業務を通じてクライアントの課題を発掘し、データやプロセスの分析に基づいて継続的な改善提案を行うことで、より長期視点での信頼をクライアントと築いていくことを目指す。

クライアント・セントリックを軸に、知と創造で未来を拓く

PwCでは、今後10年の間に新たな方法で社会のニーズに応えるための産業の再構成が進み、従来の「エネルギー」「建設」「金融」といった業種の枠組みではなく、「移動(Mobility)」「ヘルスケア」「食料調達」といった機能やニーズベースで産業が再編されると分析している。

その変化をグローバルベースでいち早く察知し、「知」と「創造性」の両輪を回しながら独自に発展させてきた「産業アーキテクチャ」は、クライアントの進むべき方向性を示唆し、新たなイノベーションをここから生み出すための重要な知的資産といえる。言い換えれば、PwCが信条とする「クライアント・セントリック(お客様本位)」を緻密に実践し、独自のストーリーを通じてより幸せな社会を実現していくための羅針盤でもある。

「社会にこれだけ課題が山積するなかでは、私たちは専門家としての『深さ』をもたなければ、プロフェッショナル・サービス・ファームとしての役割を果たしていくことはできません。また、産業アーキテクチャが示すように、複数の産業や領域をまたいで解決策を見つけ出す『広さ』を備えることも、今の時代には不可欠です。これらを高いレベルで併せもつ存在であり続け、クライアントと共にまだ見ぬ価値を描き、実装していくために、私たちは人材への投資や外部との連携拡大にこれからも取り組んでいきます」


PwC Japanグループ

Promoted by PwC Japanグループ / text by Sei Igarashi / photographs by Shuji Goto / edited by Akio Takashiro