カブトガニ(カブトガニ目カブトガニ科)は、現生動物の中で最も古い系統の1つだ。彼らは数億年にわたり、驚くほどわずかな変化しか経験しないまま、いくつもの大量絶滅を乗り越えて生き続けてきた。現代でもカブトガニは、科学や医療の分野で不可欠な役割を果たしている。
カブトガニたちは、はるか昔に失われた古生代の湿地から、現代の船舶が行き交う沿岸部に至るさまざまな環境において、数え切れないほどの他種生物が死に絶えるのを尻目に、あらゆる試練に耐え抜いてきた。しかし注目すべきは、カブトガニの系統が途方もなく長く存続してきたことだけではない。彼らがほとんど変化してこなかったことや、彼らが科学と人類にとって極めて重要な存在であることにも、目を向けるべきなのだ。
「生きた化石」の代名詞
カブトガニは、進化を理解する上で稀有な存在だ。古生物学者たちは、カブトガニに似た節足動物の化石を、数億年前の地層から発見してきた。現生種につながる系統自身は、4億年以上前の化石種の系統とまったく同じというわけではないが、両者の類似性には目を見張るものがある。
現代のカブトガニは、いまだに古生代の種とおおむね同じボディプランを備え、ドーム型の背甲と、スパイクのような尾を持つ。約3億1000万年前の化石証拠からは、当時のカブトガニの脳構造までもが、現生種とよく似ていたことがわかっている。彼らは形態と機能について、徹底的な継続性を保ってきたのだ。
このような驚異的な安定性は、専門用語では「進化的停滞(evolutionary stasis)」と呼ばれる。ある生物の形態が、非常に長い地質時代を通じて、極めてゆっくりとしか変化しない(場合によってはまったく変化しない)現象を指す言葉だ。
2022年に発表された、カブトガニ類の化石を詳細に分析した研究によれば、この系統では遠い昔に2度、形態の多様性が出現した重要な時期があったものの、堅牢な青写真が現れたあとの時代においては、おおむね安定が保たれた。
つまり、カブトガニの進化は止まったわけではない。実際には、ただ「車輪の再発明」をする必要がなくなっただけだ。自然選択は、あるデザインがうまく機能しているかぎり、「壊れていないものを修理する」ような真似はしない。



