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2026.01.26 09:30

AGIはすでに実現済み? Anthropic共同創業者のダニエラ・アモデイが示した論点

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2026年初頭、AGI(汎用人工知能)に向けた進展について語ってニュース記事の見出しを飾っているのは、Anthropicを率いるアモデイ兄妹のうちの1人だ。しかも、テック系の見出しで最も頻繁に注目される人物、兄のダリオ・アモデイではない。

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過去に存在した定義では、すでにAGIは実現できている可能性

今回の話題の中心は、Anthropic共同創業者の1人、妹のダニエラ・アモデイである。彼女は、すでにAGIが私たちの間で動いている可能性があると示唆している。

「AGIは、不思議な言葉です。何年も前は『人工知能(AI)がいつ人間と同じくらい有能になるのか』と言うための、ある意味で便利な概念でした」と、アモデイは2026年初頭のインタビューで語ったと伝えられている。「そして興味深いのは、(数年前にうたわれた)定義によっては、私たちはすでにそれを超えているという点です」。

この発言を受け、多くの関心層が思わず2度見した。何だって? すでに?

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一般に、テック企業はこうした用語を紙吹雪のようにばらまいている。今年に入ってからも「シンギュラリティ」という単語は、他ならぬイーロン・マスク本人を含め、数多くの場所で言及されてきた。また、エージェント型アプローチは仕事の捉え方を書き換えつつあり、実際のAIエージェントが普通の組織で多くの役割を担っている。

しかし、それはAGIなのか?

AGIというゴールポストを動かす、人間側の傾向

数年前に兄ダリオとともにAnthropic(アンソロピック)を立ち上げたダニエラ・アモデイは、技術の本質を研究してきた経験を持つ。最初はStripe(ストライプ)で、その後は彼女が率いる人間中心のビジネスで、さまざまなAI安全性チームに携わってきた。2人が自社名に「Anthropic」(「人間の」あるいは「人類の」という意味)を選んだ点も興味深い。人間中心で、人類の福祉に関心を持つという意味合いを込めたのだろう。

ダニエラとダリオはいずれも、AGIという用語の曖昧さを説明することで知られている。たとえばMediumの記事でも、人はしばしば基準(ゴールポスト)を動かしてしまうと指摘している。1月6日付の記事でタスミア・シャーミンは、この点をうまく言語化している。

技術が達成されるたびに定義が変わり、AGIと認められない

「AIが、人間レベルの知能が必要だと思っていたことを達成するたびに、私たちはそれは実はカウントされないと決めてしまいます」とシャーミンは指摘する。「チェス? 結局あれは力ずくの計算で、本当の知能ではないと言い出します。囲碁? パターンマッチングであって、真の推論ではない、と。エッセイを書くこと? オートコンプリートを強化しただけです。コーディング? 人間ができることを全部はできないのだから、明らかにAGIではありません。……AGIの定義は『AIがまだできないこと』になってしまいました。AIがそれを達成した瞬間、私たちは後から『それは汎用知能には当たらない』と決め直します」。

そうだとすれば、そしてこれらのLLM(大規模言語モデル)が極めて急速に進歩している現状を踏まえると、私たちはAIと戦うのではなくAIと共に、あるいはより正確には自分自身と戦うのではなく、どう向き合えばよいのか。

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翻訳=酒匂寛

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