宇宙

2026.01.21 17:30

月面ホテルの予約受付開始 15.8億円(交通費込)で2032年から宿泊可能?

(c)GRU Space

すでに始まっている宇宙旅行

月面ホテルの構想は過去にも存在し、1967年にはヒルトンホテルの社長だったバロン・ヒルトン氏が、「ルナーホテル」の構想を発表して話題になった。アポロ11号が月面に着陸する2年前に発表されたこのプランでは、豪華な客室やレストランなどを備えたホテルを、月の地下に建設することが計画された。

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また、翌1968年には、パンナム航空による月旅行キャンペーン「ファーストムーンフライトクラブ」が企画されている。同年に映画『2001年宇宙の旅』が公開され、さらにその年末にアポロ8号が月周回軌道に到達すると、その予約人数は9万3000人に達した。最初の宇宙旅行は2000年に設定され、人々はそれをあり得る計画として受け入れたという。

ヒルトンとパンナムによる両企画は、PRキャンペーンの域を超えることはなく実現には至らなかったが、パンナムが予定した2000年とほぼ同時期、2001年には米国の実業家デニス・チトー氏によって史上初の民間人宇宙旅行が敢行され、彼は国際宇宙ステーション(ISS)に8日間滞在した。つまり、60年代の人々があり得ると感じた未来の宇宙旅行が、想定されたとおりの時期に実現したことになる。

以後、30名近い民間人がソユーズやクルードラゴンなどを利用して、私費または民間資金によって地球周回軌道に到達し、さらに2021年にはヴァージン・ギャラクティック社とブルーオリジン社が弾道飛行サービスを開始したことで、今日までに140人近い民間人が無重力を体験している。

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地球から38万km離れた月面ホテルからの眺め (c)GRU Space
地球から38万km離れた月面ホテルからの眺め (c)GRU Space

GRU Spaceのスカイラー・チャンCEOは、カリフォルニア大学バークレー校で電気工学部とコンピュータサイエンスをダブル専攻し、他の学生よりも1年早く、2025年に同校を卒業したばかりの若者だが、すでにテスラの車載ソフトウェアの開発や、NASAの資金援助を受けて宇宙用3Dプリンターを開発するなどの経歴を持つ。そして彼は2025年にGRU Spaceを設立。同社は現在、チャン氏を含む3名のコアメンバーで運営されている。

チャン氏による月面ホテルの実現可能性は未知数といえ、今後は技術の確立と資金調達が課題となるだろう。しかし、月面ホテルを実現するための要件は60年代よりもはるかに満たされている。チャン氏が語るように、月面ホテルはその可能性ではなく、いつ実現されるかが問われる段階にあり、もし彼が成し遂げることができなかったとしても、近未来的には実現されるに違いない。

編集=安井克至

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