1月12日、サンフランシスコを拠点とする宇宙ベンチャーGRU Space(グル・スペース)が、月面ホテルの予約を開始した。同ホテルの建設プロジェクトは2029年の実証ミッションに始まり、2032年にモジュール式のホテルが月面に設置される予定だ。ユーザーは最低25万ドル(約3950万円)の保証金を支払うことで、早ければ2032年に予定される月面ミッションに参加でき、ホテルに宿泊する資格が与えられる。
定員は最大4名。月面までの移動手段にはスペースXのスターシップ、またはブルーオリジンのブルームーンMK2が候補に挙がる。同ホテルはその後、レゴリス(月の砂)を使用したブロックによって拡張され、宮殿のような形態に発展する予定だ。
2032年から4名宿泊が可能
GRU Spaceのホワイトペーパーによると、月面ホテルは4つのミッションを経て建設される。2029年に開始されるミッション1では、膨張式の居住モジュールのミニチュア版(約10kg)が月面に輸送され、それを圧縮ガスで膨張し、内部の熱環境と宇宙放射線による影響を測定することで、その有効性を実証する。
また、同ミッションでは現地資源利用システム(ISRU)によるデモも行われる。同機材から延びる小型ドリルでレゴリス(月の砂)を採取し、そこに活性化溶液を加えることで、「GRUブロック」と呼ばれるコンクリートブロックを製造する。これは後続ミッションで使用される建設資材の実証テストとなる。
2031年のミッション2では、より大型の膨張式モジュール(約数百kg)が輸送され、月面ピット(縦穴)に設置される。ピットを活用するのは、月面に降り注ぐ隕石、宇宙線、太陽フレアのほか、マイナス170度から100度に至る月面の極端な温度変動からモジュールを保護するためだ。しかし、この「月面カーブベース」(Lunar Cave Base)も実証試験用であり、まだ居住はできない。同ミッションでは自律型のロボット建設システムも月面に輸送され、建設作業に向けた環境が整えられる。
こうした実証ミッションを経て、2032年に実施されるミッション3によってゲストが居住可能な膨張式モジュールが設置され、運用が開始される。4名のゲストはスターシップ、またはブルームーンMK2で月面へ移動し、ホテルに数日間滞在することが可能になる。
GRU Spaceでは、今後、月輸送能力の向上によってペイロードコストが下がることで、年間3回のゲスト利用によって損益分岐点をクリアできると試算している。また、月面への打ち上げ頻度が増すことにより、月面での恒久的な滞在が維持されることを確信している。



