北米

2026.01.20 15:00

カリフォルニア州の著名富豪11人、「5%の億万長者税」で想定される税額一覧

(写真左から)セルゲイ・ブリン(CarlaVanWagoner/Shutterstock)、マーク・ザッカーバーグ(FotoField/Shutterstock)、ラリー・ペイジ (Photo by Kimberly White/Getty Images for Breakthrough Prize)

(写真左から)セルゲイ・ブリン(CarlaVanWagoner/Shutterstock)、マーク・ザッカーバーグ(FotoField/Shutterstock)、ラリー・ペイジ (Photo by Kimberly White/Getty Images for Breakthrough Prize)

「2026年億万長者税法(2026 Billionaire Tax Act)」は、純資産が10億ドル(約1580億円。1ドル=158円換算)以上のカリフォルニア州居住者に対して、1度限りの5%の課税を求めるという税構想だ。

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億万長者税の構想に富豪が反発し、カリフォルニア州外への移転を検討

現在カリフォルニア州に住むビリオネアの数は、過去最多の246人に達している。「2026年億万長者税法」構想が実現した場合、1人あたり5000万ドル(約79億円)から130億ドル(約2.1兆円)もの税負担が生じることになる。これを受け、州内でも特に裕福で知名度の高い住民が、州外への移転を検討している。

2025年10月に公表されたこの構想は、医療労働者団体「ユナイテッド・ヘルスケア・ワーカーズ・ウエスト」が後押しするもので、実現に向けてはいくつものハードルがある。この構想が2026年11月の住民投票に付されるためには、6月までに87万5000筆の有効署名を集める必要があり、仮に投票に進んだとしても、法的な争いは避けられず、可決へのハードルは高い。

新興企業の脱出を勧める投稿、資産の没収だとする批判の声

それでも州内の富豪は、警戒の声を上げ始めている。1月12日には、リップリングの創業者兼CEOのパーカー・コンラッドが、新興企業の創業者に向けて「シリーズBの前にカリフォルニアから離れろ」とXに投稿した。ウーバー創業者のトラビス・カラニックも、カリフォルニアの高い税率を批判した2009年の自身のブログの投稿を、再び持ち出して、「この州は、50州の中で最も無駄が多く、最も腐敗した州だと長年言われてきた」と書き添えた。

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ベンチャーキャピタリストのチャマス・パリハピティヤも、Xで連日のようにこの税構想を批判している。彼はこの税構想を「資産の没収だ」と表現し、政府支出が拡大していることを示すデータを提示した。パリハピティヤは、13日の投稿では、この構想が「カリフォルニアのテック経済を破壊する最悪のアイデアだ」と断じた。

著名ビリオネア11人の直近純資産額と、支払うと見込まれる税額の一覧

ラリー・ペイジ:◯純資産2681億ドル(約42.4兆円)◯想定税額134億ドル(約2.1兆円)

セルゲイ・ブリン:◯2474億ドル(約39.1兆円)◯124億ドル(約2兆円)

マーク・ザッカーバーグ:◯2218億ドル(約35兆円)◯110億ドル(約1.7兆円)

ジェンスン・フアン:◯1600億ドル(約25.3兆円)◯80億ドル(約1.3兆円)

ピーター・ティール:◯260億ドル(約4.1兆円)◯15億ドル(約2370億円)

スティーブン・スピルバーグ:◯純資産71億ドル(約1.1兆円)◯想定税額3億5000万ドル(約553億円)

ジョージ・ルーカス:◯53億ドル(約8374億円)◯2億5000万ドル(約395億円)

キム・カーダシアン:◯19億ドル(約3002億円)◯9000万ドル(約142億円)

マジック・ジョンソン:◯15億ドル(約2370億円)◯7500万ドル(約119億円)

レブロン・ジェームズ:◯13億ドル(約2054億円)◯6000万ドル(約95億円)

アーノルド・シュワルツェネッガー:◯純資産12億ドル(約1896億円)◯想定税額6000万ドル(約95億円)

※今回の分析は、2026年1月11日時点の純資産額を基準としている。日本円の金額は1ドル=158円換算

期限を意識して資産を売却し、居住地やオフィスを移す動きが加速

長年カリフォルニアに住んできた一部富豪は、すでに移転の準備を進めている。ハワイの島やフロリダ州マナラパンの海沿いの複合施設など、総額10億ドル(約1580億円)を超える不動産を個人で所有するオラクル創業者のラリー・エリソンは、2023年に有権者登録をフロリダ州へ移していた。2025年12月に彼は、サンフランシスコのパシフィック・ハイツにあった自宅を4500万ドル(約71億円)で売却したが、この動きは、ビリオネア税の適用対象が、2026年1月1日時点の居住地で判断される点を意識したものとみられる。

グーグル共同創業者のラリー・ペイジも、12月にマイアミの2件の不動産を計1億7350万ドル(約274億円)で購入していた。この判断についても、期限を見据えた動きだったと受け止められている。ニューヨーク・タイムズ(NYT)の分析によると、ペイジが関与する45社以上が、ここ数週間でカリフォルニア州からの撤退や移転に関する書類を提出した。

ピーター・ティールの投資会社であるティール・キャピタルは、12月31日にマイアミのオフィス開設を発表した。約50年前にカリフォルニアに移り住んだティール自身は先月、この税構想に反対する企業ロビー団体「カリフォルニア・ビジネス・ラウンドテーブル」へ300万ドル(約4億7000万円)を寄付していた。

税構想への反対や懸念の一方で、エヌビディアCEOのジェンスン・フアンのみ受け入れる姿勢を示す

民主党を支持する富豪も、反発の声を上げている。リンクトイン創業者のリード・ホフマンは、この税構想について、「あまりにも設計がずさんで、SNSの短い投稿では重大な欠陥をとても語り尽くせない」と語った。民主党所属のギャビン・ニューサム知事も、「州を守るためにこの構想と闘う」とNYTに述べた

こうした中で、公の場でこの構想を特に問題視していない姿勢を示した富豪は1人のみだった。エヌビディアCEOのジェンスン・フアンは、「私たちはシリコンバレーに住むことを選んだ。どのような税が課されようと、それを受け入れる」とブルームバーグTVに語った。

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翻訳=上田裕資

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