高い所得税率を嫌う流出は続くが、州の魅力と資産は拡大
税をめぐる対立は、今に始まった話ではない。カリフォルニア州の州所得税率は、以前から全米で最も高く、最高税率は13.3%に達している。ここには、2004年の住民投票で可決された100万ドル(約1億6000万円)を超える所得に対する1%の付加税が含まれる。そのため一部ビリオネアは、以前から州を離れていた。
エナジードリンク「ロックスター」創業者でビリオネアのラッセル・サベージは、「誰もが税金から逃れるために州外に移住する。カリフォルニアのような州で事業を立ち上げる理由は、見いだせない」と述べている。以前はラッセル・ウェイナーとして知られた彼は、2001年にカリフォルニア州の自宅を担保にして借り入れた5万ドル(約790万円)で会社を創業し、約20年前にフロリダ州へ移住した。「ラリー・エリソンも出て行った。私も出て行った。イーロン・マスクも出て行った。名前を挙げればきりがない。結果がすべてを物語っている」。
彼の主張には一理ある。2010年以降、30人を超えるビリオネアがカリフォルニア州を離れている。そこには、投資家のジム・ブレイヤー、パランティア共同創業者のジョー・ロンズデール、バーガーチェーンIn-N-Outのリンジー・スナイダーが含まれる。
AIブームの追い風を受けて、州内の富豪数と資産総額は記録を更新
しかし、そのような不満や移転が相次ぐ中でも、カリフォルニア州は魅力的で、テック業界で巨額の富を築くためには、今なお最有力の地域だと見る向きも多い。AIゴールドラッシュの追い風を受け、州に住むビリオネアは過去最多の246人に達している。この数は、フォーブスが2025年版ビリオネアリストを確定させた3月時点の219人から増加した。州別で見るとこの数は全米最多で、次に多いのは同じく高税率州のニューヨーク州で157人となっている。フロリダ州は130人、テキサス州は85人にとどまる。
カリフォルニア州のビリオネアの資産総額は2兆1000億ドル(約331.8兆円)と、こちらも過去最高に達している。ただし、資産総額が合計5000億ドル(約79兆円)を超えるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが州外へ移転すれば、この数字は大きく落ち込む可能性がある。
学者は実際の移転を少数と予測し、巨額の税収が州に入ると試算
この税構想の策定に関わった学者たちは、超富裕層の流出を特に懸念していない。この構想の起草者の1人でミズーリ大学ロースクール教授のデビッド・ガメージは「実際に移住する人は、ごくわずかだという結論が、研究結果から繰り返し、しかも一貫して示されている」と語っている。学者たちは、この税によって2027年から2031年にかけて、州の200人超のビリオネアから約1000億ドル(約15.8兆円)の税収が得られると試算している。
フォーブスは税収約16.4兆円と試算、ただし株価変動などの不確定要素も
フォーブスが、1月11日時点のカリフォルニア州のビリオネアの純資産額を基に分析を行ったところ、税収見込みは、ガメージの試算をやや上回る1040億ドル(約16.4兆円)となった。州内のビリオネア1人あたりの平均税負担額は1億4700万ドル(約232億円)になる計算だ。また、想定される税額には幅があり、最低では5000万ドル(約79億円)未満、最高額は134億ドル(約2.1兆円)に達する可能性がある。もっとも、これら金額は株式市場の動きによって日々変わる。
構想では、富豪の居住地は1月1日時点のものが基準となる一方、純資産額はそこから約1年後のものが用いられるからだ。その間に、株価がどう動くのか、あるいは州に残る富豪が、迫り来る税負担を回避するためにどのような手を打つのかは、誰にも分からない。
以下に、直近の純資産額を基に、カリフォルニア州を代表するビリオネア11人が支払うと見込まれる税額の一覧の詳細を掲載する。


