AI

2026.01.29 14:15

AIめぐる利害調整役「チーフAIオフィサー」は『新たな経営責任者』だ

Brunswick Social Value Review Issue 6「AI Impact」のページより

第3章|CAIOの本質──AIを巡る「判断」と「利害調整」を引き受ける

CAIOは、AIを推進するための技術責任者ではない。Brunswick Reviewが繰り返し強調するのは、CAIOの本質が判断と調整を引き受ける存在であるという点だ。

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生成AIの活用には、多くのステークホルダーが関与する。経営層は成長と競争力を期待し、事業部門は成果とスピードを求め、IT・データ部門は安全性と安定運用を重視する。法務・コンプライアンスは説明責任やリスクを警戒し、人事は雇用やスキルへの影響を懸念する。顧客や社会もまた、AIに透明性と誠実さを求めている。

これらの利害は、必ずしも一致しない。生成AIを巡るトラブルの多くは、アルゴリズムの欠陥ではなく、想定していなかった使われ方や、意図しない受け取られ方によって生じている。

AI推進とは、技術導入ではなく、利害調整の連続なのである。CAIOは、技術とビジネス、スピードと慎重さ、革新と信頼の緊張関係のあいだに立ち、対話を通じて意思決定を前に進める存在だ。最適解を即断する人ではない。不確実性の中で合意形成を機能させる人である。

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第4章|日本企業にとってのCAIOの意味─「誰が引き受けるのか」を明確にする

では、日本企業にとってCAIOとは何を意味するのか。

それは、新しい肩書きを一つ増やすことではない。

日本企業は、もともと合意形成や部門間調整を重視する文化を持っている。

生成AIを巡る課題の多くは、「正しいか、間違っているか」ではなく、「誰が納得できるか」「どこまで許容できるか」という問いに近い。

その意味で、CAIOは日本企業にとって合意形成を止める存在ではなく、合意形成を前に進める存在である。

また、日本企業では「失敗したらどうするのか」「炎上したら誰が責任を取るのか」という不安が、生成AI活用を過度に慎重にする要因になりやすい。

CAIOの存在は、AIに関する試行錯誤を、個人や一部門の責任ではなく、組織として引き受けるというメッセージにもなる。

また、日本企業にとってのCAIOは海外のような「一人のスーパースター」である必要はない。むしろ、自社事業への深い理解を持つ社内人材と、不足する技術・ガバナンス知見を補う外部の専門家を組み合わせ、CAIO機能を組織として設計することのほうが現実的で、持続性が高い。

結びにかえて|CAIOとは「生成AI時代の経営責任者」である

CAIOは、未来の役職ではない。

生成AIがすでに、経営判断、ブランド、社会的信頼に影響を及ぼしている以上、企業がAIという新しい技術をどのように使うのか、どこまでの責任を引き付けるのかを持つ必要がある。CAIOの責任は大きい。


今回ご紹介した記事の全文はBrunswick Social Value Reviewに掲載されている。また、日本語のホームページはBrunswickの東京のページに掲載した。ぜひご一読いただきたい。

文=唐木明子 編集=石井節子

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