高市政権が注力する20兆円市場 日本コンテンツ産業の成長と課題

イラストレーション=イシュトヴァン・シュギイツキー

25年7月に開催された国内最大級のスタートアップイベント「IVS」では、スタートアップと投資家との出会いを促進する7つのテーマゾーンのひとつに、Entertainment Stageが新設された。同ゾーンのチーフディレクターを務めたスタートアップスタジオStudio ENTRE事業プロデューサーの中村ひろきは「過去20年、日本のスタートアップのエコシステムでは、投資先はSaaSやITなどが多く、かつグローバルで大きくスケールする企業は限定的でした。そんななかでここ数年は、新たな期待としてエンタメ領域にも投資が集まるようになってきています」と話す。特に近年注目が集まっているのがBrave group も参画するVチューバー関連事業や、AIをかけ合わせたエンタメ事業。後者の一例として、AIを活用したアニメ制作を手がけるCreator’s Xが25年11月にグローバル・ブレインや博報堂DYベンチャーズなどから総額19億円を調達している。

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クリエイターエコノミーの拡大と課題

そんなエンタメ業界においてカギとなるのが、IPを生み出すクリエイターたちだ。近年はSNSの登場とともに個人クリエイターが増え、2020年代に入ると創作活動を通じて経済的価値を生み出す「クリエイターエコノミー」が新しい経済圏として認識されるようになった。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査(25年)によると、24年の国内クリエイターエコノミーの市場規模は 2兆894億円。調査を開始した21年の市場規模は1兆3,574億円であり、15.5%のCAGR(年平均成長率)で伸長している。背景には生成 AIの普及があり、創作過程の効率化と新規クリエイターの参入が進んだことでクリエイティブの質・量の向上と取り引きの活性化につながったとされる。ただ、参入障壁が下がり誰もが創作・発信できる環境が整ったことで、グローバル市場で競争力をもつIPを継続的に生み出す難易度はむしろ高まっている。

同調査では、個人クリエイターの法人化や伝統的なメディア・エンタメ産業との連携、IPビジネスの広がりにより、国内クリエイターエコノミーの潜在市場は約14兆円規模に達する可能性があると示す。群雄割拠のクリエイターエコノミーのなかで、“14兆円の市場”をつくるのはどんなクリエイターなのか。本特集のOPENING DIALOGUEでは「原液を生み出す力」と「巻き込み力」をもち、シーンをつくるクリエイターの重要性が語られた。

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また、本特集のアドバイザリーボードを務めたCHOCOLATEの栗林和明が「日本発IPの少子高齢化が進んでいる」と指摘するように、グローバルでは長寿IPの活用が多い。例えば1985年誕生のスーパーマリオ。2023年にハリウッドで映画化された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はアニメ作品で世界興行収入第2位の大ヒットを記録し、26年4月には続編の公開が決まっている。1984年生まれのドラゴンボールも、サウジアラビアで2030年までにテーマパークが開業予定だ。ほかにも「ハローキティ(1974年)」「ソニック(91年)」「ポケットモンスター(96年)」「ONE PIECE(97年)」などのIPが世界中でビジネスを生み続けている。これらの巨大IPは一度のヒットに依存するのではなく、継続的な拡張を前提とした設計によって価値を更新し続けてきた。

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文=田中友梨

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