そもそも、何をすれば「解いた」ことになるのか?
生成AIの回答から、仮説の上に仮説が積み上がるという概念を読み取った。素人には正気の沙汰ではないように見えるが、それでも私は「何をすれば『解いた』ことになるのか」がまだよく分からない。先に進む前に、まず何が賭けられているのかを説明しよう。
リーマン予想を「解いた」人には約1億5800万円もの懸賞金が支払われる
ある数学研究所が、リーマン予想を「解いた」人に100万ドル(約1億5800万円。1ドル=158円換算)もの懸賞金を支払うと申し出ていることが分かった。
本当に100万ドルである。
さあ、これで注意を引けただろうか?
リーマン予想はクレイ数学研究所(Clay Mathematics Institute)により、ミレニアム懸賞問題の1つとして選ばれており、同研究所はこの太っ腹な懸賞金を、初めて証明を成し遂げた人に支払うとしている。挑んだ人はいる。2018年に、ある人物が学会で何かを提出した。だが通らなかった。「十分」(good enough)ではなかったのである。
その「十分」さについての論点に戻ろう。なぜ人々はリーマン予想を解けないのか。何が足りないのか。そしてAIはどう役に立ち得るのか。
さっそくChatGPTに聞いてみた。
Q:「解く」とはどういう意味か? 証明か反証か?
A:「はい。リーマン予想を『解く』とは、その主張に決着をつけることを意味します。
証明する:ゼータ関数のすべての非自明な零点の実部が1/2であることを、厳密な数学的証明で示します。
反証する:1/2の直線上にない非自明な零点を一つ見つけ、それが本当に零点であることを厳密に示します。
どちらでも、証明でも反証でも、解決として数えられます。」
Q:なぜそれができないのか?
A:「『不可能』というわけではありません。ただ、まだ解かれていないのは、私たちが持っている道具が十分に強力ではなかったからです。」
この1文は、AIが、リーマン予想を突破するために必要なより強い解析を構築する助けになる、という含意を持つ。だが、何が難しいのか。ChatGPTは「なぜ難しいか」について、次のような箇条書きも示した。
・無限に関わる主張である:「十分な数の零点」を調べてもだめで、すべてを覆う議論が必要になる
・零点は捉えにくい:ゼータ関数は複素平面上にあり、振動する和や積と結びついている。解析上の小さな穴があるだけで証明は崩れる
・部分的な進歩では不十分:多くの零点が1/2の線上にあること、すべての零点がある帯状領域内にあることは証明できるが、それを100%に押し上げることにはあらゆる既知の手法が歯が立たない
・交差点に位置している:証明にはおそらく、複素解析、調和解析、数論を現在の技術よりもより緊密に結びつける新しいアイデアが必要である
零点は捉えにくい。なるほど。数学者が言いそうな表現だ。
さらにこうもあった。
「つまり課題は『多くの零点を見つけられるか?』ではありません──それは可能です。問題は『すべての零点を、どこまでも、絶対的な確実性をもって網羅できるか?』なのです。これは計算の問題ではなく、証明の問題です」。


