現在発売中のForbes JAPAN 1月23日発売号は「20 HOT CREATORS 進化するクリエイター経済」特集。日本の基幹産業として位置づけられているコンテンツ産業は、2033年には海外売り上げ額20兆円規模を目指す成長領域。経済界からもコンテンツ産業を含むエンタメ・クリエイティブ領域全体が成長市場としてとらえられ、資金の流入が進む。そんな市場において存在感を強めているのが、IPを起点に新たな需要を創出し産業としての広がりを生み出すクリエイターたちである。本特集では、作品や世界観を核に、シーンを形成しながら市場を拡張していく今注目のクリエイター20人を紹介する。
ラッパー、クリエイティブディレクター、ポッドキャスト番組のパーソナリティとしても活躍するTaiTan。クリエイティブだけでなく流通やコミュニティ、収益構造までを自ら設計し、従来の「表現者」とは異なる新しいクリエイター像を体現している。
「ポッドキャストの商流を一挙に集中させる基地をつくります」
2025年末、TaiTanは26年1月にオープンするポッドキャストスタジオ「TANAMAX」を準備していた。六本木でビルの2フロアを貸し切り、一部を収録スタジオに改装する計画だ。同時にポッドキャストレーベルも発足し、「奇奇怪怪」をのぞくTaiTanの出演番組に加えて、藤原ヒロシ、上出遼平、平野紗季子などの新番組がスタートする。番組の企画から配信、IP管理やイベントまでを一気通貫で行うこの「TANAMAX」は、アーティスト、ポッドキャスター、クリエイティブディレクターと複数の肩書をもつTaiTanの活動の現時点での収束地とも言える。
TaiTanのキャリアのスタートは、大学在学中の15年に結成したヒップホップグループ・Dos Monosのラッパーとしてだった。18年にはクリエイティブエージェンシーに入社し、音楽活動の傍らプランナーとしても活躍。コロナ禍でアメリカツアーが中止になったのをきっかけに、20年に友人の玉置周啓とポッドキャスト番組「奇奇怪怪明解事典」(23年から「奇奇怪怪」)をスタートした。
本番組は、21年にはSpotify ポッドキャストチャートで1位を獲るほどの人気となり、IPとして拡張してきた。22年には書籍化され、版元である国書刊行会の史上最高予約数を記録。同年にアニメ化し、渋谷パルコのギャラリーで上映された。25年にはポッドキャスト番組として初めてコンビニ「PINPIN MART」を開店。早々に売り切れる商品もあり、大きな反響があった。
22年に2人がパーソナリティを務める「脳盗」(TBSラジオ)もスタートし、24年にはよりマス向けのイベント「盗」も実現した。制限時間のなかで音さえ立てなければどの商品でも盗めるという体験型ショップで、2日の開催期間中は常時4時間待ちの行列ができ1000人以上を動員。SNSを通して知った非リスナーの来場も多く、音声IPが従来の枠を超えた集客装置にもなりうることを示した。
「どの仕事も基本的には仲間やリスナーを集めて“遊び”を提示するものです。つまりプレイグラウンド(遊び場)をつくること。遊びの体験を積み重ねていくと、物語(=ナラティブ)が生まれる。これがまた新たな遊びにつながります」



