送金サービス事業者への調査通知やIRSの監査強化など、広範な取り締まり戦略を展開
GTOは、当局が進めるより広範な取り締まり戦略の一環だ。FinCENは、連邦のマネーロンダリング対策法に基づき、ミネソタ州に拠点を置く送金サービス事業者に対して4件の調査通知を出し、記録の提出を求めた。これら事業者は、従来の銀行システムの外で運営され、国境を越えて迅速に資金を移動させることができるため、便利である一方、犯罪ネットワークにとっても利用価値が高いものとなっている。
また、IRSも関与を強めている。財務省によると、IRSの監査担当者は、不正資金の移動や隠匿に関与した可能性のある金融機関を調査しており、パンデミック期の税制優遇措置を悪用した詐欺や、非営利団体の税制優遇の不正利用に焦点を当てたタスクフォースの立ち上げも準備している。
連邦当局によれば、不正スキームの多くに慈善団体や社会福祉事業者を名乗る組織が関与していたという。非営利団体を装うことで、詐欺の実行者は信用を得やすくなり、公的資金へのアクセスが可能となり、少なくとも当初は監視の目も緩くなる。財務省は、こうした手口に使われている非営利団体を摘発していく方針だが、その対応が既存の枠組みとどう異なるのかは明らかになっていない。
児童栄養プログラムから約474億円が不正流用された詐欺により、非営利団体・慈善団体への監視を強化
FinCENは先ごろ、連邦政府の児童栄養プログラムに関連する詐欺について、金融機関に注意を促す正式な警告を出した。財務省によると、ミネソタ州では子どもの食事に充てられるはずだった少なくとも3億ドル(約474億円)が、こうした不正な手口を通じて流用されたとされる。
警告では、銀行に対し、非営利団体が関与する不自然な資金の移動や資金が急速に個人口座へ移される動き、慈善団体が掲げる目的と整合しない支出、明確な目的が見えない海外送金など、注意すべき兆候を監視するよう求めている。当局のメッセージは明確だ。こうした警戒サインを見逃せば、規制当局の厳しい監督を招くおそれがある。
ミネソタ州のGTOは、トランプ政権が進める、より広範な戦略と合致する。財務省はここ1年の間、南部国境周辺での現金取引を含む、差し迫った脅威とみなす問題に対処する手段として、GTOの活用を増やしてきた。
この取り組みを支持する人々は、犯罪の手口が従来の規制よりも速いペースで進化する中、GTOは当局に優位性をもたらすと評価している。一方、批判的な人々は、GTOが金融の監視を拡大し、事前の十分な説明がないまま、地域の金融機関に重いコンプライアンス負担を課していると指摘する。
ミネソタ州を対象とするGTOは時限的な措置だが、更新される可能性が高い。その影響は今後も続く可能性がある。
財務省とFinCENが、海外の受取人を特定し、国内の詐欺ネットワークとの関係を突き止めることに成功すれば、検察はこうした事件の立件を進めやすくなるだろう。また今回の措置は、銀行や非営利団体、州政府機関に対し、より厳しい監視が及ぶことを示すメッセージでもある。
この手法が、実際に資金の回収や抑止効果につながるのか、それとも新たな論争を招くだけに終わるのかは、現時点では分からない。ただ、少なくとも今のところ、ミネソタ州の取り組みは、連邦政府がどこまで、そしてどれほどのスピードで踏み込む用意があるのかを測る試金石となっている。


