2. 意思決定のフローを検証し、意思決定のボトルネックを解消する
業務遂行の速度は、意思の力に比例するわけではなく、意思決定のフローに左右される。どういった選択が必要になり、精査され、最終決定されるかの経路が重要なのだ。
不必要な接点や承認段階、チーム間における調整の欠如は、業務遂行の勢いを削ぐ、見えない抵抗力となる。筆者はこれらを、総じて「人的摩擦(people friction)」と呼んでいる。
創業者は、このフローを絶えず検証し、意思決定が必要になる前の段階で、誰が、何を、なぜ決定するのかを明確化しなければならない。コンサルタンティング企業BTSの成長・戦略・カルチャーアクティベーション・助言担当エグゼクティブバイスプレジデントであるキャスリン・クラブは、次のように説明する。
「沈黙は、業務遂行を止める最大の要因です。リーダーはしばしば、沈黙をアラインメント(調整)と誤解します。しかし、実際にはほとんど例外なく、確信の欠如、あるいは不同意の症状です。自分が業務を遂行しているところを想像できないならば、人は(戦略を)前に進めようとはしません。沈黙はそのシグナルなのです」。
沈黙を乗り越えるためのあるべき道は、プレッシャーを強めることではなく、参加を促すことだと、クラブは強調する。リーダーは、人々が職場における自分の役割を理解することを助け、チームが戦略的遂行の主体となれるような環境をつくらなければならない。
実践にあたっては、チームと密接に関わり、意思決定の後ではなく、その最中に、懸念やリスクを表面化させ、新たなアイデアを引き出すことによって、沈黙を破るよう促すことが大切だとクラブは指摘する。
クラブはさらに、幹部社員は、方針策定やビジネスレビューに関するミーティングにおいて、2つのシンプルだが意義深い問いを必ず提起することで、説明責任を制度化できると語る。その問いとは、「何を決定したのか」と「実際に最終決定を行ったのは誰か」だ。
「ほとんどの決定権モデルが破綻するのは、事前に計画された意思決定だけを扱い、仕事のフローの中で現れてくる意思決定については見落としているからです」と、クラブは言う。「こうした議論を、ビジネスにおける日常のリズムに取り入れることで、説明責任を個人に背負わせるのではなく、組織の能力とすることができます」。
実践においては、以下のような形をとる。
・明快な意思決定マトリックスを構築し、誰に何の決定権があるのかの概要を示す
・事前に計画された意思決定だけでなく、仕事を進める中で現れてくる意思決定についても考慮する。往々にして、インフォーマルな決定が成果を左右するためだ
・定期的な意思決定レビューを、日常業務のリズムに統合することで、アラインメントと前進速度を維持する


