大阪湾の明石海峡周辺の海域には、海苔の養殖が行われる冬から春にかけて、多くのイルカが見られるという。そこでは、海苔の養殖網に棲み着く小魚やエビを狙ってイルカやクロダイが集まり、豊かな生態系が形成される。そんな大阪湾は、人間の営みと海の生物たちが共存する都市型海域のモデルケースとなる可能性がある。
神戸大学、海洋研究開発機構、早稲田大学、京都大学による研究グループは、大阪、神戸という大都市に接する明石海峡付近の海域で目撃されるイルカと人間活動との関係を調査した。約1年半にわたり、神戸市舞子と須磨の2地点に音響観測機(A-tag)を設置し、1万3000時間を超える海の中の音を収録。そこからマイルカ科とネズミイルカ科が発するクリック音やバズ音を分類したところ、海苔の養殖が行われる3月をピークにマイルカ科のクリック音が253回検出された。

目視観測ではマイルカ科のハセイルカが確認されていることから、ハセイルカの声と思われる。また水族館でも人気が高いネズミイルカ科のスナメリの声も1日だけ記録された。このことから、人間の活動が活発な大都会の海であっても、イルカたちは負の影響をあまり受けることなく、季節的な環境変化に応じて柔軟に海域を利用していることが推測される。
今後は、さらに詳しくイルカが大阪湾を利用する理由を調べ、イルカの生態解明とともに人間活動との関連性を定量的に評価していくとのことだ。さらに、ほかの地域の沿岸海域との比較研究を進めることで、「都市湾における野生動物との共存の普遍性や地域固有の特徴」を明確にできると研究グループは話している。
クマと違って、イルカなら都市部に現れても歓迎されるだろう。イルカウォッチングができる都心の海なんて、じつにロマンチックだ。



