もう一度言おう。人の不幸はすべて他人本位の生き方をする/強いられることから始まる。ゆえに、不幸になりたくなければ自分本位の生き方に変えろ。その決意をするかしないかは、あなたの胸三寸にかかっている-れがフランクリンの『自伝』の、また『自伝』以降に書かれたありとあらゆる自己啓発本の、真の主張である。無論、自分本位に生きる以上、その結果は自己責任としてどこまでもついて回るだろう。しかし、それは最初から覚悟のうえ。自分本位に生きる者にとって「自己責任」の四文字は十字架であるどころか、むしろ勲章であるはずなのだ。
自己啓発本の名著が教えてくれること
だから私は、ここまで本稿を読んでくださった読者諸賢に、実際に自己啓発本を手に取ってもらいたいと思う。優れた自己啓発本であるならば、それは必ず、「自分本位に生きるとはどういうことか」をあなたに教えてくれるのだから。
幸い、優れた自己啓発本は世に多い。ウエイン・W・ダイアーの『自分のための人生』、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』、岸見一郎・古賀史健の『嫌われる勇気』などの定番に加え、最近で言えばジェームズ・クリアーの『複利で伸びる1つの習慣』やビル・パーキンスの『DIE WITH ZERO』、はたまた坂口恭平の『生きのびるための事務』なども実に面白い。さらにV・E・フランクルの『夜と霧』や、マルクス・アウレーリウスの『自省録』といった古典ともなると、人生観が変わるほどの衝撃を受けるかもしれない。
これら優れた自己啓発本の数々を読み継いでいけば、それらがいったい何を人生の真の「成功」とみなしているかが、必ずや、わかるはずである。
尾崎俊介◎1963年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後期博士 課程単位取得。現在、愛知教育大学教授。専門はアメリカ文学・アメリカ文化。著書に『S先生のこと』(新宿書房、第61回日本エッセイスト・クラブ賞)、『ハーレクイン・ロマンス』(平凡社新書)、『14歳からの自己啓発』(トランスビュー)、『アメリカは自己啓発本でできている』(平凡社)、『大学教授が解説 自己啓発の必読ランキング60』(KADOKAWA)、『ゼロから始める 無敵のレポート・論文術』(講談社現代新書)、編に『エピソード:アメリカ文学者 大橋吉之輔 エッセイ集』(トランスビュー)などがある。


