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2026.01.15 11:30

トランプによるFRB独立性への脅しが株式市場を「揺るがさない」理由

Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images

大統領がFRBに圧力をかけること自体は、今に始まったことではない。

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リンドン・ジョンソン元大統領は、ジョン・F・ケネディ元大統領の経済路線を強力に推進し、1964年には大規模な減税を行った。その後、経済成長とベトナム戦争を支えることを目的に、金利を低く維持するようFRBに圧力をかけた。1965年には、ジョンソンはテキサス州にある自身が所有する牧場で、当時のウィリアム・マクチェズニー・マーティンFRB議長と激しい会談を行った。セバスチャン・マラビーが著した『グリーンスパン 何でも知っている男』によれば、この会談は身体的な衝突にまで発展し、ジョンソンはマーティンを押しのけながら、「ベトナムでは若者が死んでいるのに、マーティンは気にも留めていない」と怒鳴ったという。

ジョンソン以降の大統領も同様の行動を取ってきた。1971年3月、前年比4.7%のインフレが進行する中で、リチャード・ニクソン元大統領は当時のFRB議長であるアーサー・バーンズに対し、1972年の大統領選挙を前に景気を「刺激する」ため、金融政策を緩和するよう圧力をかけた。株価は数カ月間上昇した後、インフレに煽られた深刻な景気後退と弱気相場が始まったことで急落している。これらの出来事はFPPIの対象期間外ではあるが、同研究の中心的な結論を裏付けている。すなわち、FRBに対する政治的圧力は珍しいものではないが、決して無視できるものでもないという点である。

しかしこれは、だからといってFRBの独立性を弱めるべきだという主張ではない。それには代償が伴う。政治的な圧力は経済の不確実性を高め、国債の販売を難しくする可能性がある。スコット・ベッセント財務長官が、この捜査に不満を抱いていると報じられているのも無理はない。ボナパルトの研究は、圧力がインフレ期待を押し上げる可能性も示している。長期的には、信認を損なうリスクがあるのだ。トランプの盟友であるエルドアン大統領の実質的な支配下にあるトルコでは、インフレが深刻化している。2022年10月にはインフレ率が85%に達し、現在も30%を超える水準にとどまっている。

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forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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