その根拠となっているのが、「Fed–President Pressure Index(FRB・大統領圧力指数、FPPI)」である。この指数は、コロラド大学デンバー校の金融学教授、ヨセフ・ボナパルトが作成したものだ。ボナパルトは1980年まで遡る約6万9000本の新聞記事を分析し、2025年に研究成果を公表した。その目的は単純だった。大統領が実際にどの程度公にFRBへ圧力をかけているのかを測定し、その圧力が高まったときに市場で何が起きるのかを検証することである。
ボラティリティは、その1つの側面を示している。圧力が高まると、市場の変動は拡大する傾向がある。ボナパルトによれば、これはパニックではなく不確実性を反映したものだ。投資家は、対立がどのように収束するのか、FRBに対する制度的な支持が維持されるのかを見極める間、株価を動かす。しかし、「圧力はボラティリティを高めるが、それが必ずしもリターンを低下させるわけではない」と、ボナパルトは述べている。
リターンは、別の側面を語っている。平均すると、中央銀行への圧力が強まる局面では、株式リターンはわずかに高くなる。ただし、その恩恵は主に小型株に集中している。ボナパルトの研究によれば、大型株はほとんど反応していない。
理由は単純だ。政治的圧力はほぼ常に株価の上昇を意識してかけられるため、金融政策が緩和方向に向かうシグナルとなることが多い。大統領がFRBに影響を及ぼそうとすると、投資家は利下げや金融引き締めの先送りを予想し始める可能性がある。低金利は一般に株価を支え、とりわけ金利に敏感な小型企業にとって追い風となる。ボナパルトの論文は、圧力が高まった局面の後、数カ月にわたって予想短期金利が低下する傾向があることを示している。
この指数は、最近の歴史とも整合的だ。ホワイトハウスとFRBの間で目に見える緊張が生じた時期に同指数は急上昇している。具体的には、2000年代初頭の景気後退、2008年の金融危機、そしてパンデミック後のインフレ急進局面など、金融政策が再び政治の焦点となった時期が含まれる。ただし、最も大きな上昇が見られるのはトランプ政権下である。FPPIはトランプの第1期政権中に急上昇し、第2期にはさらに高まった。月次平均で見ると、トランプ大統領がFRBに加えた圧力は、バイデン元大統領のほぼ2倍、レーガン元大統領の7倍に達している。なお、同データは2025年7月までを対象としている。


