米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長に対する根拠薄弱な刑事捜査が報じられたことで、投資家が懸念を抱く理由は確かにあった。しかし、研究結果によれば、中央銀行の独立性が株式のパフォーマンスに与える影響は、一般に考えられているほど大きくないことが示唆されている。
パウエル議長は、米国時間1月11日の夜に率直なメッセージを発した。司法省は、2025年の上院銀行委員会でのパウエルの証言に関連し、刑事起訴の可能性を伴う大陪審の召喚状をFRBに送付していたという。パウエルは、この捜査は実際にはその証言を巡るものではないと述べた。また、FRB本部で長年続いている改修工事が問題なのでもないとした。動画メッセージの中で彼は、この件の本質は「圧力」だと語った。パウエルによれば、その目的は、FRBが大統領の要求ではなく、経済状況に基づいて金利を決定する能力を弱体化させることにある。要するに、トランプは独立したFRBを望んでいないということだ。
市場関係者は、急激な反応に身構えた。アナリストの中には、世界の投資家が米国の制度に対する信頼を見直す可能性があると警告する者もいた。ホワイトハウスがFRBに圧力をかけられるのであれば、投資家は米国の資産に対してより高いリスクプレミアムを要求するようになり、「アメリカ売り」という、より広範な取引が再燃するかもしれないとの見方も出た。エバーコアISIで世界政策および中央銀行戦略の責任者を務めるクリシュナ・グハは、11日夜のメモでその懸念を端的に表現した。「これは明らかにリスクオフだ」
しかし、実際にはそうはならなかった。市場はほとんど動揺しなかったのだ。当日、S&P500種株価指数、ダウ平均株価、ナスダック総合指数はいずれも上昇して取引を終えた。元FRB議長で元財務長官のジャネット・イエレンも投資家は「懸念すべきだ」と述べたが、その懸念が売りに転じることはなかった。トランプは過去にもパウエルと対立してきたが、そのどれもが大きな下落を生まなかった。
最近では、FRB理事のリサ・クックを解任しようとする試みが裁判所によって阻止されている。さらに、アラスカ州選出のリーサ・マーカウスキー、ノースカロライナ州選出のトム・ティリスという共和党の上院議員2人は、司法省の捜査が解決するまで、新たなFRB指名を阻止すると既に表明している。共和党は上院で53議席を保有しており、人事承認には51票が必要だ。これは、一定の歯止めが依然として機能していることを示唆している。
市場の反応が抑えられている理由は、もう1つある。歴史を見れば、FRBへの圧力が自動的に株価を押し下げるわけではないことが分かる。



