北米

2026.01.15 11:00

米国防総省の大幅な予算増額は「米国を弱体化」させる

米国のドナルド・トランプ大統領。2026年1月13日撮影(Anna Moneymaker/Getty Images)

米国のドナルド・トランプ大統領。2026年1月13日撮影(Anna Moneymaker/Getty Images)

米国のドナルド・トランプ大統領は先ごろ、2027年会計年度の国防予算を1兆5000億ドル(約237兆円)に増額するよう米連邦議会に要求した。これは現在の水準を50%上回る驚異的な数字であり、第二次世界大戦の動員時以来の増額となる。

同大統領は国防予算の大幅な増額の要請について、次のように説明した。「上院議員、下院議員、各省の長官やその他の政治代表者らとの長きにわたる困難な協議を経て、私はわが国の国益のため、特にこの極めて混乱し危険な時代の中で、2027年度の国防予算は(現行の)1兆ドル(約158兆円)ではなく、1兆5000億ドルとすべきだと判断した。これにより、わが国が長年享受してきた『理想の軍隊』を構築することができ、さらに重要なことに、敵が誰であろうと私たちの安全と安心を確保できるようになるだろう」

共和党議員は大統領の発表を歓迎した。上院軍事委員会委員長を務めるロジャー・ウィッカー議員と下院軍事委員会委員長のマイク・ロジャーズ議員は、大統領の提案を支持する共同声明を出した。「トランプ大統領が1兆5000億ドルの国防予算を約束したことを歓迎する。まさにこれがわが国の軍隊を再建し、国際舞台での米国の統率力を回復するために必要な投資だ」

だが、トランプ大統領も議会内の支持者も、これほど大幅な増額について首尾一貫した論拠を示していない。米国は既に国防総省に過去最大規模となる1兆ドルを割り当てており、これは同省が「迫りくる脅威」と呼ぶ中国の国防費の3倍近くに相当する。当然のことながら、資金は軍事力の直接的な尺度にはならない。重要なのは、国防予算を賢明に使い、現実的な戦略を支えることだ。

トランプ大統領の大幅な増額要求は、際限のない戦争を抑制し、米国の軍事行動を「中核的利益」に限定するよう求める国防総省の国家安全保障戦略の主張と一部矛盾している。もしこの主張が実行に移されるのであれば、同省の予算は5000億ドル追加するどころか削減される可能性がある。

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翻訳・編集=安藤清香

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