コロナ禍を経て、働き方の多様化が定着したかに見えたビジネスシーンにおいて、一時は「オフィス不要論」まで囁かれた東京都心のオフィスマーケットが、再び熱気を帯びている。コロナ禍明け以降からオフィス需要は拡大傾向になり、2026年を迎えてもなお勢いを増しており、多くの企業がリモートワークからオフィスワークへと再び舵を切り始めていることがうかがえる。
三幸エステートが発表した「オフィスマーケット2026年1月号」によると、2025年12月時点の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)における大規模ビルの空室率は1.07%を記録した。前月から0.06ポイント低下し、これで10カ月連続の低下となった。解約予定を含めた募集面積を示す「潜在空室率」も2.50%と、前月から0.12ポイント低下しており、募集床の消化が着実に進んでいる。

この需給逼迫の波は、東京以外の主要都市にも波及している。全国6大都市の動向を見ると、空室率は2~4%であるものの、仙台、名古屋、福岡の3都市では前月より低下しており、全国規模で「優良なワークスペース」の争奪戦が繰り広げられている。

また、東京都心5区の大規模ビルにおける募集賃料は、2カ月連続の上昇を記録した。空室率が1%台という極めて低い水準で推移するなか、オーナー側の強気な姿勢が反映されており、今後も需給逼迫を背景とした賃料の上昇圧力は続くと予想される。かつてのように「空室が溢れる」という懸念は完全に払拭され、現在は「条件に合う優良物件が見つからない」という、いわば貸し手優位のマーケットへと完全にシフトした格好だ。

アナリストの視点によれば、現在の市場は2024年からの需要拡大フェーズの延長線上にあり、企業の拠点を集約・拡張する動きは今後も継続する見込みだという。コロナ禍で一度は見直された地方拠点も、現在は地域密着型の営業活動や、地元人材の採用・定着を目的としたオフィス投資が再び活発化している。全国的に空室率が低下するなか、企業は立地戦略の再構築を迫られており、優良なワークスペースの確保が経営課題になっている。
出典:三幸エステート「オフィスマーケット2026年1月号」より



