こうしたライトファンをいかにして中長期的なロイヤルカスタマーへ育成するか。顧客関係管理(CRM)戦略はどこまで徹底されているのか。日本の総人口が減少へ向かう時代、ファン人口もそれに比例し減少させてしまうのか、それとも人口減少と無関係にファン層を増加・定着させることができるのか。次の1兆円を生み出す戦略の見直しは必須だろう。
スポーツを「観る」と「DO」の再接続もまた必要な戦略ではなかろうか。 低下するスポーツ実施率を食い止めるためには、新たなスポーツ体験の提供が不可欠だ。デジタル施策などを活用し、「いつでも」「どこでも」「気軽に」スポーツ体験ができる。そして、その体験と観戦とが、常に連動するようなエコシステムの構築が今こそ求められる。それはすなわち、スポーツそのものに関心を寄せる、スポーツマーケティングにおける非常に重要で大きな一歩であるはずだ。
『Forbes』誌によれば、ドジャースは北米のクラブとして初めて年間スポンサー収益約300億円を突破。スポンサー76社のうち日系企業は20社に及んだ。この効果はドジャースを迎え撃つ敵地ビジター・スタジアムに余波を広げている。
問題はこうした投資が、日本のスポーツ市場を満たしきった余力で賄われているのではなく、日本市場を無視し、海外への投資と化している点であり、看過してはならない。これは日本スポーツ市場の空洞化を生み、日本には資産が残されないという構図さえ浮かぶ。
日本のスポーツ界は「盛り上がっているように見える」──その感覚こそが、最大のリスクだ。大谷翔平が何本ホームランを放ち、ドジャースが3連覇したとしても、潤うのは日本市場ではない。データが示す「停滞」のシグナルを直視し、ビジネス戦略を見出す、喫緊の課題解決に、我々は迫られている。
戦略なきまま、この時代を漫然と過ごすようであれば、大谷の大熱狂の宴が終焉を迎える頃、日本には空っぽのスタジアム、アリーナ、そしてスポーツに関心を示さない市場だけ残される可能性は大いにありえる。
※三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングとマクロミルによる共同調査に基づく(2024年、25年)。


