スポーツ

2026.01.19 17:15

「大谷翔平の熱狂」が創り出す日本の空洞化──ドジャースと阪神タイガースの陰で進行するスポーツビジネスの静かな危機

Jonathan Weiss / Shutterstock.com

空洞化を脱却し、日本のスポーツビジネスの再成長を生むには

「2025年、日本のスポーツビジネスは踊り場に達し、再成長のシナリオを描けていない」、これがレポートから読み取れる事実と言えそうだ。

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24年の数字が示した「回復」は、単なるリバウンドに過ぎなかった。それを「成長」と履き違え、大谷翔平の活躍に酔いしれている間に、国内市場の地盤沈下が進行している。旧態依然としたチケット販売や、スター選手頼みのマーケティングを続けていては、26年以降、市場はさらにシュリンクの可能性が見込まれる。

では、我々はどんな戦略を着地させるべきなのか。

100年にひとりのスーパースターや数十年ぶりの優勝に驚喜するのはやむを得ないが、この目眩ましに安住することなく、顧客体験の抜本的拡充は今すぐ手をつけるべきだろう。各種項目が横ばいであるのに対し、飲食費が前年比で微増(+1.9%)している点は、アリーナビジネスやホスピタリティにまだ余地があることを示唆している。

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新設アリーナやスタジアムは、すでにこの点に気づきテコ入れを始めている。IGアリーナ、トヨタアリーナのホスピタリティがそれであり、東京五輪向けに建築された国立競技場も2026年、「MUFGスタジアム」として運用を開始。3月にはそのホスピタリティの拡充がお披露目されると聞く。勝てなくても楽しい、スターがいなくても居心地が良い。そんな「空間の価値」を売るビジネスの発展は日本市場において急務でもある。

「ライトファン」の戦略的定着と育成は、いつの時代もテーマだ。スーパースターやチームの優勝によりファン率が高くなるのは、レポートが実証する通りだ。問題はその浮動票をいかに定着させるかが、常にスポーツ界の命題でもある。大谷のファンをいかに野球ファンとして定着させるか、ラグビーW杯のファンをいかにレギュラーシーズンに結びつけるか。ここ数年ではBリーグ、SVリーグでは、ライトファンの比率が高いことがわかっている。

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文=松永裕司

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