国民から忌み嫌われる体制
抗議行動が続くなかでも、イランの政権は自らの失政について責任を取ることを拒んでいる。政府は深刻な経済的苦境を西側の制裁のせいにし、最高指導者であるアリ・ハメネイは、デモ参加者はドナルド・トランプ米大統領を喜ばせるために国を破壊しているなどと主張している。
だが、多くのイラン国民は、問題は無能で抑圧的なイランの体制そのものにあると考えているのが実情だ。オランダの調査機関GAMAANが2019年に実施した調査では、仮に自由な国民投票が行われた場合、イスラム共和国の体制に反対票を投じると答えたイラン国民の割合は79%にのぼった。
2026年現在、この体制がいちだんと不人気になっていることは疑い得ない。多くのイラン国民は、国が適切に統治されていると思っていない。イランは世界第3位の石油埋蔵量を誇りながら、国内需要を満たすためにガソリンを1日あたり1500万リットル輸入している。イランで生産されている石油製品の質は低く、精製能力への追加投資が必要だが、この問題は依然として解決されていない。
石油産業のお粗末な管理、深刻な腐敗、国際的孤立などにより、イラン政府は事実上、経済をフリーフォール(自由落下)状態にしてきた。昨年12月、イランの通貨リアルは対米ドルで16%下落し、2025年通年の下落率は84%前後に達した。食品のインフレ率は年率72%を記録している。投資水準は低迷したままで、資本逃避は急増し(国内総生産=GDP=比10%に達する可能性もある)、石油収入も細り続けている。イランはエネルギー危機にも直面しており、家庭向けの天然ガスと電力のおよそ40%が生産・輸送中に失われている。さらには前例のない干ばつにも見舞われ、水不足にあえいでいる。イランはだんだんと「失敗国家」の様相を強めている。
体制側の計算
穏健派のマスード・ペゼシュキアン大統領は、政権側は抗議者の声に耳を傾ける用意があるとし、国内の経済的不満に対処することを約束している。しかし、ペゼシュキアンは本当の意味で権力を握っているわけではない。実権を持つのは軍事組織と宗教指導者(ムッラー)であり、最終的な決定はハメネイによって下される。


