AI

2026.01.15 13:00

PCの巨人、LenovoがハイブリッドAI戦略で仕掛けるAI体験の主導権争い

Lenovoが基調講演で掲げた「AI for All」は、よくある”標語”ではない

AIエージェント「Qira」が狙う“AI体験”の統合

AIエージェント「Lenovo | Motorola Qira」と、それを前提に設計されたデバイス群との組み合わせで、どのような価値をもたらすのだろうか? 彼らはパーソナルAI機能の戦略において、「何を、どう便利にするのか」を具体的に製品に盛り込もうとしている。

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Qiraのデモで印象に残ったのは、端末間の断絶を埋める発想だ。

PC、スマートフォン、タブレットといった異なるデバイスやOSをまたいで情報を統合し、作業の続きを自然に引き継ぐ。ファイル転送のような基本動作ですら、AIが介在することで、データ連携を意識することなく仕事をこなしていける。

Qiraの基本的なコンセプトは、プロンプトを待ち手助けするアシスタントではなく、作業の流れそのものを整えるエージェントとしての実装にある。メールから会議予定を抽出して登録を促し、過去のやり取りを踏まえて返信案を出す。そうした小さな自動化の積み重ねで、日々の生産性を底上げする設計である。

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未来への布石として披露されたウェアラブルのコンセプトモデル「Project Maxwell」も同じ延長線上にある。

常に身につけるように帯同させ「あなたが見るものを見、あなたが聞くものを聞くデバイス」というコンセプトは刺激的だ。あらゆる時間帯、ユーザーのコンテキストを常時獲得できる一方で、プライバシーという難題も同時に背負う。技術よりも、社会的に許されるのか? といった実装の設計が問われる領域に踏み込んでいる。

Qiraを使うためのハードウェアとして発表されたのは、Intel Core Ultra搭載の次世代AI PC「Aura Edition」や、折りたたみスマホの「motorola razr fold」などだ。端末上で動かすエッジAIを前提に、オンラインでもオフラインでも、AIを用いた体験を“常時”提供する実装をPCとスマートフォンの両方で進め始めた。

Microsoftのユスフ・メフディ氏も登壇し、QiraとMicrosoft Copilotの連携が発表された。Windowsに標準で組み込まれるAI機能と、Lenovoのデバイスに組み込まれたQiraを統合し、シームレスに動かすプランだ。

ただしこうした企業の枠を超えた統合は、設計図どおりに進まないことも多い。まずはどこまでできるのか。しばらくは様子をみたい。

Lenovoが狙う”本丸”のエンタープライズAI

コンシューマー向け機能は華やかだが、Lenovoが本気で狙うのはエンタープライズAIである。

2025/26年度第2四半期決算で、Lenovoグループは売上が過去最高の205億ドルに達した。中でも収益を牽引したのがAIインフラ向け事業である。Lenvoは過去数年、一貫してAIを「事業戦略の柱」としてきたが、その戦略意図が数字に明確に表れている。

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編集=安井克至

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