ビジネス

2026.01.16 13:15

東京は「世界の挑戦者のハブ」になれるか。大学発の国際ビジコンが拓く「シン・エコシステム」の可能性

wichayada suwanachun / Getty Images

wichayada suwanachun / Getty Images

午前4時のロサンゼルスは、まだ夜の気配をまとっていた。カコ・アニカ・エサシはパソコンを開き、Zoomを立ち上げた。画面の向こうに現れたのは東京にいる3人のチームメイト。いずれも大学院大学至善館の学生だ。ひとりは仕事の研修の合間を縫って、残る2人は大学院の授業を終えた直後に滑り込んできた。

advertisement

国や時差を超えて集まった目的はひとつ。「TOKYO GLOBAL INNOVATION CHALLENGE」(以下、TGIC)に応募するピッチ動画を撮るためだ。

TGICは、都内にキャンパスを構える17大学および15団体・機関による協力のもと、日本人学生や留学生、海外の大学生が一堂に会し、英語でビジネスアイデアを競い合う東京発の国際ビジネスコンテストだ。主管は中央大学が務め、協力大学には東京科学大学や早稲田大学、昭和女子大学など、名だたる大学がずらりと並ぶ。

開催初年度のTGICのテーマは「Go Beyond Boundaries ―越境体験が、キミを強くする―」。自らの壁を越える、分野を超える、国境を越える——学生たちの挑戦のベクトルを「越境」に集約した。産学官が連携し、グローバルな舞台に挑む大学生を応援する新たな枠組みを構築することで、東京という地の利を活かしたスタートアップ・エコシステムの発展に寄与することを目的に掲げる。

advertisement

若者たちの「越境」を通じて、東京からイノベーションを起こす。このビジョンは、東京都が2025年11月に発表したスタートアップ戦略のバージョンアップ版「Global Innovation Strategy 2.0 STARTUP & SCALEUP」(以下、スタートアップ戦略2.0)と重なる。

東京都は、22年11月に打ち出した「Global Innovation with STARTUPS」で「東京発ユニコーン数」「東京の起業数」「東京都の協働実践数」をそれぞれ5年で10倍にする「10×10×10のイノベーションビジョン」を中核に据えた。合言葉は“みんなで創る”。スタートアップ戦略2.0では、新たな柱として「グローバル×スケールアップ×プラットフォーム」を前面に打ち出している。

東京都がいう“みんな”には、スタートアップはもちろんのこと、大企業や中堅・中小企業、大学、研究機関など、多種多様なプレーヤーが含まれる。しかし、ここで問われるのは参画者の数や支援策の量ではない。東京が「世界から挑戦者を集め、挑戦者を世界へと送り出す」回路を創り、実装できるかどうかだ。

それにはさまざまな「越境」が必要になる。TGICは、複数の大学を起点にグローバル社会で力強く羽ばたくための回路を描こうという、大胆かつ壮大な試みのひとつだ。

次ページ > 異文化間の対話のプロセスがもたらす「推進力」

文/瀬戸久美子 写真提供/ツクリエ

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事