混迷のツイッター、新CEO決定の舞台裏

Photo by: John Chiala/CNBC/NBCU Photo Bank via Getty Images


ツイッター社の暫定CEOのジャック・ドーシーが、早ければ木曜日(米国時間)に正式なCEOに任命される見方が強まった。テック系ブログRe/codeがリポートを掲載した。この報道によりツイッター社の株価は前日終値の25.5ドルから26.94ドルに上昇した。

現在38歳のドーシーは決済会社スクエアのCEOと、ツイッターCEOを兼任すると見られている。

ツイッター社は前任のCEO、ディック・コストロが7月1日に辞任以来、100日以上もの間、後任者が決まらない状態が続いていた。ユーザー数の伸び悩みが伝えられる中、投資家の間でもドーシーのCEO就任を待ち望む声が高まっていた。

もう一人の候補者として挙げられていたのは、同社の財務部長を務めるアダム・ベインだが、ベイン自身はドーシーと張り合うつもりは無いとの観測が流れていた。

後任にはドーシーがふさわしいという声はここ数日、シリコンバレーの有力者の間でも高まっていた。同社の初期からの出資者であるクリス・サッカや、Suhail Rizvi氏らもドーシーが2社のCEOを兼任すべきだという声明を公開していた。

最大の懸念事項となっていたのは、ツイッター社の取締役会が後任者について「フルタイムで任務に就ける人物に限定して探している」とアナウンスしたことだ。しかし、人選が難航する中で、同社は当初の決定を覆したと見られている。Re/codeの報道によると、何人かの役員が取締役会を去る可能性もあるという。

もう一つの懸念点は決済会社スクエアのCEOについてだ。同社は今夏、株式上場申請を行っており、数週間後にはIPOが実現すると見られている。関係者によると、スクエアを支援する投資家らはジャック・ドーシーが、IPOに向けてスクエアの業務に全力を注ぐことを望んでいた。しかし、その後、同社の2大出資元であるセコイア・キャピタルとKhosla Venturesが、ドーシーが2社のCEOを兼任することを認める決断を下したという。

ジャック・ドーシーがツイッターとスクエアのCEOを兼任するとしたら、彼はテック業界で同時に2社を率いた稀有な人々の仲間入りを果たすことになる。古くは、アップルとピクサーの代表を務めたスティーブ・ジョブズ、そして最近ではテスラ・モーターズとSpaceX社の代表を務めるイーロン・マスクが挙げられる。

ディック・コストロがCEOを退任以来、ツイッターの株価はおよそ28%下落した(9月29日の終値を根拠とした数値)。また、同社からはプロダクト責任者が何名も離職している。新CEO候補のドーシーは7月、ツイッターが新規ユーザーの獲得に苦慮していることや、プロダクト開発に時間がかかり過ぎていることを明かしていた。社内はうまく統制がとれておらず、新たな目標に向かって団結する必要があると述べていた。

テック系ニュースサイトのInformationは9月29日、「ジャック・ドーシーは、ツイッターの文字数制限を緩和し、長文の投稿が可能になる新機能のプランを持っている」と報道した。

ツイッターは先日、 Lightningと呼ばれる新機能の実装を今年後半に実施すると発表した。これはライブイベント等のニュースを人力でキュレーションできるサービスだ。しかし、競合のインスタグラムも同様の機能を導入済みであり、ツイッターがどこまで失地を回復できるかは不透明だ。Snapchat や Kik 、そして動画アプリの Dubsmashなど、新興のアプリがミレニアル世代を取り込みつつある中で、ツイッターは引き続き厳しい状況に置かれている。

ツイッターを支える投資家のクリス・サッカはドーシーのCEO就任についてのコメントを避けた。しかし、ツイッター社の未来は暗いと予測する者たちは今後、痛い目にあうだろうと述べている。

文=キャサリン・チャイコフスキ(Forbes)/ 翻訳編集=上田裕資

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