経済・社会

2026.01.16 12:00

米国のAIブーム、想定外の「水資源」問題に直面

Shutterstock

Shutterstock

米国の人工知能(AI)インフラで最も急成長している部分が、地域で最も限られた資源の1つである「水」と摩擦を起こしつつある。

advertisement

電力・水道などの公益事業者、州規制当局、地方自治体が、AIとクラウドコンピューティングに牽引されたデータセンター建設の急増に対応しようと急ぐ中で、水資源が、多くの許認可制度が想定していなかった制約として浮上している。問題は、データセンターが予想外の存在だったことではない。規模が1つの閾値を超えたにもかかわらず、国家戦略上重要なインフラではなく、依然として通常の不動産プロジェクトであるかのように規制されている点にある。

米国エネルギー省は、こうした施設の計画には、地域レベルを超えた調整が必要だと指摘している。多くの管轄区域では、データセンターは商業不動産の枠組みで承認されているが、エネルギーと水の需要は、むしろミッションクリティカルなインフラに近い。

米国エネルギー省とローレンス・バークレー国立研究所が取りまとめた連邦政府および業界の分析によれば、2023年で米国の全データセンター(3000カ所以上)が直接的に消費した水は推計170億ガロン(約644億リットル)だった(編注:東京都八王子市[人口約58万人]の2023年度上水道使用水量は、567億5100万リットル。イメージとしては、人口約60万人規模の都市の年間総配水量を直接消費している状態)。また、データセンターが使用する電力を生成するために、地域の電力網全体では約2113億ガロン(約8000億リットル)の水が間接的に消費されたと推計。ハイパースケール施設だけでも、2028年までに年間160億〜330億ガロン(約606億〜1249億リットル)を直接消費すると予測されている。

advertisement

冷却技術、気候、作業負荷の強度にもよるが、中規模データセンター1拠点で1日あたり約30万ガロン(約113万6000リットル)の水を必要とし得る(編注:小学校の教育用プール約2.9杯分に相当。プール1杯分の水量は長さ25m×幅13m×深さ1.2m×1000リットルとした)。需要予測の誤差がわずかでも、自治体の水道システムを圧倒しかねない。とりわけ、供給計画が、24時間体制の産業用冷却ではなく住宅増加を前提に設計されていた地域では深刻だ。

問題は、米国がデータセンターを建て過ぎていることではない。国家的に重要な産業が、各地の承認手続き、税制優遇、そしてこの規模のインフラを支えることを想定していない水道システムという、つぎはぎの仕組みの中で拡大していることだ。

データセンターは今や米国の経済競争力の中核を成し、AIやクラウドコンピューティングから、物流、金融、防衛システムに至るまでを支えている。政策当局は、特に中国が政府支援のインフラ施策で技術を加速させる中、AIを国家的優先事項として位置づけている。

次ページ > なぜ「水」が急所となるのか

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事