ルーブル・アブダビ
ルーブル美術館が初めて国外に開設した分館は、パリのルーブル美術館の再現を狙ったものではない。その実現は、そもそも不可能なことだろう。2017年にオープンしたルーブル・アブダビは、サディヤット文化地区に完成した初の大規模なアート関連の施設。フランスの建築家、ジャン・ヌーヴェルが設計を担当した。
島の西端に建てられたこの美術館は、まるで海に浮かんでいるようだ。直径およそ180メートルの巨大なドームの下に、ギャラリーと広場がつくられている。重なり合う約8000枚の星型の金属製プレートでできたドームは、それらの隙間を通して、砂漠に照りつける強烈な日差しの「光の雨」を、館内に降り注いでいる。
ギャラリースペースにある23の常設展示室の面積は、合わせておよそ6400平方メートル。特別展が開催されるホールや、子ども向けの展示を行う「チルドレンズ・ミュージアム」、270席が設けられたホール、レストラン、カフェ、ショップもある。
ザイード国立博物館
2025年12月に開業したザイード国立博物館は、彫刻のように複雑なデザインの「チュイール」(フランスの「瓦」)を屋根に突き立てたような外観が特徴的だ。
設計したイギリスのフォスター・アンド・パートナーズ(Foster + Partners)によると、空に向かって伸びるそれらの巨大な「チュイール」が表現するのは、UAEの文化的アイコン、ハヤブサの羽。建国の父、シェイク・ザイド・ビン・スルタン・アルナヒヤンに捧げるものとして誕生した博物館に、ふさわしいデザインだろう。
内部では6室の常設ギャラリーでの展示と企画展が、来場者をこの国の歴史をたどる旅に誘う。30万年以上に及ぶ人々の暮らしを物語る3000点以上の展示品には、各国から貸し出された品々のほか、世界最古とされる天然真珠や、この博物館のために再現された全長18メートルのマガンボート(青銅器時代の交易船)がある。さらに、UAE建国の日の新聞記事の切り抜きなどを含む資料を通じて、この国の成り立ちをより深く理解することができる。


