スウェーデンの法制度と学校外機関の介入
1979年、スウェーデンは親権法を改正し、「子どもは体罰やその他の屈辱的な扱いを受けてはならない」と明記しました。これにより、家庭内を含む体罰が法的に禁止されました。体罰を明確に違法と位置づけた国として、世界で初めての例とされています。教育法(Skollagen 2010:800)では、学校で身体的・言葉による暴力やいじめが疑われた場合、教職員は報告義務を負います。学校は調査と対応を迅速に行う責任があります。
さらに以下の場合には、学校外の機関(警察・社会福祉)が介入します:
・犯罪にあたる可能性のある暴力行為
・被害が反復・継続している場合
・家庭環境に問題があると判断された場合
学校はまず内部対応を行いますが、子どもの安全を最優先に、必要に応じて外部機関が介入する体制が整っています。
スウェーデンの具体的事例
ある中学校では、14歳の生徒が同級生から身体的暴力を受けました。学校は調査と対策を実施し、加害者と被害者の接触を避けつつ、暴力が刑事責任に該当する可能性があるとして警察・社会福祉当局に通報しました。
別の学校では、言葉による暴力やSNS上での中傷が長期化し、被害者が登校をためらう状況が続きました。学校は内部対応に加え、外部専門家と連携して継続的な心理サポートを行いました。私自身が経験した事例ですが、私の子どものクラスで、「あなたの隣には座りたくない。あなたの触ったものは触りたくない」と言った生徒がいたそうです。教室内にいた教師がすぐに反応し、言った生徒に対し、授業終了後居残るように命じました。言われた生徒は「いじめ」として学校へ報告し、その後、対策が取られたようでした。このように、スウェーデン社会では言葉による「いじめ」に対しても「ゼロ・トレランス」であり、その教育は保育園から始まります。
幼児期から始まる暴力予防 ― BRISの取り組み
スウェーデンでは暴力予防は学校入学前から始まります。民間団体BRIS(Barnens Rätt i Samhället)は相談窓口の運営と教育現場との連携で、幼児期からの啓発活動を行っています。
保育園では、「親であっても子どもに暴力を振るってはいけない」と説明します。
「Stopp! Min kropp!(やめて! これは私の体よ!)」という象徴的な言葉を子どもに教えるため、全ての子どもたちは保育園児の頃からこの言葉を知っています。
保育園から始まる暴力に対する教育は、身体的暴力だけでなく、性的接触や不適切な触れ方など、性的被害も対象です。子ども自身が「これは許されない」と理解することを重視します。BRISや教育当局は、この教育により被害を未然に防ぐだけでなく、万が一の場合にも子どもが大人に助けを求めやすくなると考えています。


