デジタル動画とテレビの境界が消え、新興コンテンツ企業が勢いを増す
ザ・ボリュームのような新興コンテンツ企業が勢いを増している背景には、従来型のエンターテインメント大手が人員削減や事業統合を進め、制作本数を抑える動きが広がっていることが挙げられる。また同時に、「デジタル動画」と「テレビ」という区分自体が、かつてラジオとポッドキャストの境界が溶け合っていったのと同じように、急速に意味を失いつつある。
ハリウッドも、こうした変化を敏感に察知している。2026年のゴールデングローブ賞では新たにポッドキャスト部門が設けられ、アカデミー賞は2029年をもってABCでの放送を終了し、その後はYouTubeでの独占配信に移行すると発表した。また、YouTube最大のクリエイターであるミスタービーストは、Amazon Prime Video向けに新たなテレビ番組の制作を進めている。1月11日には、Netflixが「ザ・リンガー」や「Barstool」、そしてザ・ボリュームから提供を受けた3番組(「Joe and Jada」「Rory & MAL」「3 and Out with John Middlekauff」)を含む映像ポッドキャスト作品の配信を開始した。
ポッドキャストの主流メディアとしての存在感が高まり、そこに資金が流れ込む余地も広がる中で、出演者だけでなく制作側の人材をめぐっても、企業間の競争は一段と激しくなっている。「間違いなく、人材を巡る“軍拡競争”のような状況になっている」とスウェイムは語る。
もっとも、そうした競争はカウハードにとってむしろ刺激になるという。「目標を追いかける感覚が好きなんだ。競い合うプロセス自体に魅力を感じている」と話す。自身のトークショーのキャリアについては、永遠に続くものではないとしつつも、「あと10年程度は十分にやれると思っている」と見通しを語る。
事業の売却は考えず、外部資本に頼らない拡大や買収を検討
一方で、ザ・ボリュームを当面手放す考えはない。最近は、他社の買収や事業の横展開について思いを巡らせることが増えており、ニュースレター分野への進出も選択肢の1つとして考えているという。「もし何かを買うとしたら、外部資本に頼らずに1500万ドル(約24億円)を投じられるだろうか」と、自らに問いかける場面もある。
彼の眠りを妨げているのは、毎朝の番組の出来不出来ではない。むしろ、こうした将来の選択や、社員に対して背負っている責任の重さだと明かす。
「FOXやiHeartで仕事をしているのは、環境にも恵まれているし、本当に楽しいからだ。もちろん、収入面でも魅力がある」とカウハードは語る。「多くの司会者は、放送に出ることで得られるあの高揚感を原動力にしている。人前で話し、表現すること自体が好きなんだろう。でも私は違う。私は“作ること”が好きなんだ。話すこともできるが、論点を組み立て、コンテンツを形にし、会社を育てていくことに1番の面白さを感じている」。


