経営・戦略

2026.01.18 15:00

年商95億円の「ポッドキャスト帝国」を築いた、62歳の米スポーツ司会者

コリン・カウハード(Photo by Jerod Harris/Getty Images for The Volume )

音声だけでなく映像コンテンツを前提とし、テレビ番組並みの制作体制を採用

ザ・ボリュームが自らの強みに位置づけているのが、音声配信にとどまらず、すべての番組で映像コンテンツを前提とした制作体制を取っている点だ。Cumulus Mediaの調査によれば、YouTubeは世界最大のポッドキャスト配信プラットフォームで、利用規模はSpotifyの2倍以上、Apple Podcastsの3倍に達する。そうした状況を踏まえれば、映像を重視する判断は自然に映るかもしれない。しかし、映像制作にはもう1つの狙いがある。制作体制に余力のあるザ・ボリュームのような企業が、個人制作に近い番組や小規模ネットワークとの差を明確に打ち出す手段になるからだ。同社が運営するYouTubeチャンネル群の月間再生回数は、この2年で約4倍に増え、2023年の約2500万回から2025年には1億回を超えた。

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「コリンのチームが作っているのは、昔で言えば完全にテレビ番組だ」と語るのは、ベテランのテレビプロデューサーであるジェイミー・ホロウィッツだ。ホロウィッツはザ・ボリュームに正式な役職こそ持たないが、少数株主として関与しており、カウハードからは実務を担う経営幹部の1人と見なされている。「映像があり、差し込み映像やグラフィックもきちんと作り込まれている。小規模とはいえ、実質的にはテレビ局を運営しているようなものだ。それを音声でも配信しているだけだ」。

ホロウィッツは2009年、ESPNの番組「SportsNation」でカウハードを共同司会者として初めて起用し、その後2017年には彼をFOXスポーツに迎え入れた人物でもある。ただし同年、性的嫌がらせを巡る調査のさなかに突然解雇された。現在は、元NFLスターのペイトン・マニングが率いる制作会社オマハ・プロダクションズの社長を務めているが、テレビ業界出身のプロデューサー、ローガン・スウェイムを最高コンテンツ責任者として起用するようカウハードに勧めたのも、ホロウィッツだった。

広告を自社で直接販売する体制を整え、利益率を改善

スウェイムは就任後、テレビ制作の現場を知るスタッフを中心に制作体制を整えるとともに、Barstoolから広告営業の責任者だったデーン・オーガードを迎え入れ、広告を自社で直接販売する体制を立ち上げた。その結果、iHeartやYouTube経由で販売されていた広告の比率は徐々に低下し、利益率は改善している。

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同社は、この体制によって新番組を立ち上げる際のリスクを抑えつつ、将来的にはより知名度の高い人材にも対応できると見ている。フォーブスの推計では、現在もプレロールやミッドロールといった音声広告が収益の中心を占めるが、同社幹部によれば、売上全体は直販広告、iHeart経由の広告、YouTubeの広告収入がほぼ均等に分かれているという。

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翻訳=上田裕資

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