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2026.01.18 11:15

1歳で発達が遅れていても3歳で改善、読み聞かせの科学的な効果

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本の読み聞かせは、子どものコミュニケーション能力の発達や情緒の安定に大変に有効だと、近年脚光をあびているが、言語能力だけでなく、問題解決力や運動能力にまでポジティブな影響を与えることがわかった。

東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野の大学院生中村春彦医師らによる研究グループは、本の読み聞かせが幼児に与える影響を検討したところ、読み聞かせの頻度が高い3歳児は、5つの基本的な発達領域全般において良好な発達が見られることを確認した。5つの発達領域とは、コミュニケーション、粗大運動(跳んだり走ったりという大きな運動)、微細運動(手先を使う細かい動作)、問題解決(おもちゃの使い方を考えるなど)、個人-社会(対人関係や生活習慣)のこと。

研究グループは、環境省が実施している「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の参加者約10万人分のデータから、必要な情報が揃っている3万6866組の親子のデータを分析した。それによると、1歳時点で発達が遅れていた子どもでも、読み聞かせの頻度が高いと3歳時点で発達の改善が見られたということだ。

読み聞かせの頻度(週5回以上、1〜4回、ほとんどない)によって3つのグループに分けて調べたところ、コミュニケーションにおいては、「ほとんどない」と週1〜4回とで有意な差(統計上意味があるとされる大きな差)があり、さらに週1〜4回と週5回以上との間でも有意な差があった。

また、粗大運動、微細運動、問題解決では、「ほとんどない」と週5回以上との間に有意な差が見られた。個人-社会においては有意な差はなかったものの、読み聞かせを行うグループと「ほとんどない」との間にある程度の差があった。

さらに、読み聞かせを多く行う家庭では、親子ともスクリーンタイムが短い傾向にあることもわかった。読み聞かせを多く行えば、当然、子どもと触れ合う時間が長くなり、個別にテレビやスマホを見る時間が短くなるであろうことは納得できる。

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この研究は、読み聞かせの頻度と子どもの発達の相関を既存のデータ解析によって示したに過ぎず、因果関係までは明らかにしていない。どんな本が適切かなど、詳しい調査も行われていない。だが重要なのは、絵本の読み聞かせを通じて親子で楽しく過ごす時間が長いほど、発達に良い影響があることが示唆されている点だ。

ともかく、本を「読んで読んで」と子どもにせがまれるうちに、たっぷり読んでやることだ。そんな時期はあっという間に過ぎてしまうのだから。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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