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2026.01.19 10:30

次世代GLP-1で注目 株式アナリストから転身、時価総額6300億円「減量薬企業」を生んだ起業家

T. Schneider/Shutterstock.com

幼少期から顕微鏡に親しみ博士号を取得

ネブラスカ州オマハで育ったリアンは、幼い頃から顕微鏡に親しみ、理科系の分野に強い関心を持っていた。ウィットマン・カレッジで化学を専攻し、ミシガン大学で有機化学の博士号を取得。その後、インディアナ大学でMBAも修了した。サントラスト・ロビンソン・ハンフリーで株式アナリストになる前には、アムジェンで研究者として勤務し、がんや内分泌疾患の研究に携わっていた。

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バイオテック企業の立ち上げは容易ではなく、リアンも創業当初は苦労を重ねた。それでも、2015年4月にリガンドから受けた少額の出資を足がかりに、会社を上場へと導くことに成功した。「IPOには2度の挑戦を経て、最終的に実現できた。それが会社を本格的に前に進める転機になった」とリアンは振り返る。

創業初期、バイキング・セラピューティクスは脂肪肝疾患向けの治療薬候補に注力し、フェーズ2の臨床試験まで開発を進めた。2018年に完了した試験では、治療を受けた患者で肝脂肪が中央値で最大60%減少するなど、有望な結果が示された。

ただ、リアンはこの段階から、事業の軸を一つに絞ることのリスクを強く意識していた。「アナリスト時代、市場の期待が一気に高まった企業が、その後急速に存在感を失っていく例を何度も見てきた。単一の製品に依存する怖さはよく分かっていた」と彼は語る。脂肪肝疾患の治療分野も、関心が急速に高まる時期と落ち着く時期を繰り返してきた。「私たちがデータを公表した当時は大きな注目を集めたが、その後は市場の関心も一巡した」

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もっとも、この分野は昨年、数十億ドル規模の買収が相次ぎ、再び存在感を取り戻している。バイキングは現在、フェーズ2で臨床試験を終えた同社の肝疾患治療薬について、ライセンス提携の可能性を探っている。

その後、複数の治療分野を検討した末、バイキングが主軸に据えたのが、自社で創出した減量薬だった。注射剤については、最初のフェーズ3試験で被験者の登録をすでに終えており、2本目の試験も2026年1〜3月期に登録開始を予定している。開発が順調に進めば、2027年後半から2028年前半に米食品医薬品局(FDA)への承認申請を行う計画で、2028年後半から2029年前半の市場投入を視野に入れている。製造の難易度が高く、開発も先行していない経口薬については、それより少なくとも1年ほど遅れる見通しだ。

バイキングの強みの一つは、同一の薬を注射剤と経口薬の両方で開発している点にある。体重を落とす段階では注射剤を使い、その後は体重維持のために経口薬へ切り替えるといった使い方が可能になるかもしれない。治療を中断すると、筋肉よりも脂肪が戻りやすいことが知られており、注射剤を断続的に使用する患者ほどその影響を受けやすい。この点で、経口薬への移行は現実的な選メトセラ択肢になり得る。

リアンは、市場の規模が極めて大きいことを踏まえれば、仮にシェアが2〜3%にとどまったとしても、事業としては十分に成立すると見ている。また、現在ノボとリリーが主導する肥満治療薬市場の構図についても、いずれは複数の製薬会社が、それぞれ異なる治療法を提供する形へと変わっていくと予想する。「独立した企業としてのバイキングには、まだ大きな成長の余地がある。買収されることを前提に経営を考えるつもりはない。自分たちの判断で、事業を積み上げていく必要がある」と彼は語った。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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