微妙に異なる2つのアーキテクチャが並立すれば、開発者は選択を迫られる。MシリーズとAシリーズの両プラットフォームを支えるためにより多くの労力を投じるのか、それともMシリーズのチップセットでのみ得られる「フルの」MacBook体験だけに絞るのか。果たしてアップルは、Mac App Storeを「Mac対応」と「Mシリーズ必須」に二層化する余裕があるのだろうか。
とはいえ、このMacBookの用途の大半がSNS、ブラウジング、軽い編集であるなら、それで足りるのか。アップルストアのスタッフは、このMacBookから、より能力の高いMacBook Airへ顧客を誘導する用意ができているのか。そしてそれは、アップルのノートが「必要なものをすべて満たす投資」だという認識を損なうリスクに見合うのか。
低価格MacBookが招きかねない混乱
アップルは21世紀に入ってから、「安さ」は自社のDNAの一部ではないという考え方を静かに浸透させてきた。2025年にiPhone SEが更新された際も、後継のiPhone 16eは、それ以前のiPhone SEより100ドル(約1万5900円、なお日本での販売価格には3万6000円ほどの差があった)高かったにもかかわらず、なお低価格iPhoneと見なされた。
MacBook Airは、デザイン、仕様、性能のいずれにおいても妥協がないと受け止められていることから、市場で最高の一般向けノート製品だと広く見なされている。Aシリーズ搭載のMacBookは、そうした理想の正反対として描かれかねない。すなわち、力不足のプロセッサ、弱い仕様、制限されたアプリ対応を備えるMacBookである。
廉価版MacBookは、財務目標を達成するために妥協を重ねて設計されたノート製品でありながら、消費者が期待する「妥協なきmacOS搭載ノート」を実現するという、困難なバランスを取らなければならない。


