欧州

2026.01.14 09:30

ロシア軍の「騎兵突撃」に拡大の兆し ウクライナは馬を傷つけない攻撃法考案

ロシア軍の騎乗兵がウクライナ側のドローン(無人機)を受ける様子とみられる画像。ウクライナ軍第36独立海兵旅団がソーシャルメディアで公開した動画から

「記者にとっても驚きだったが、そこでは突撃兵たちが散弾銃の射撃やオートバイの運転だけでなく、乗馬の訓練も受けていた。『ハン』というコールサインを持つ部隊指揮官は、騎兵を復活させるという野心的な課題に取り組んでいる」とペゴフは伝えている。

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記事では、馬は本能的に磁気地雷を踏むのを避けるほか、暗闇でもよく目が見え、さらにロシア軍の陣地からウクライナ軍の塹壕までを「ほかのどんな輸送手段よりも速く踏破できる」などと奇妙な主張をしている。馬と騎乗兵は周囲での爆発や銃撃にも対処できるように訓練されているという。

「近い将来、ロシア騎兵の歴史的な復活を目撃することになると記者は確信している。ハンと彼の現代版『ハン(汗)国』に幸運を祈ろうではないか。前線から送られる壮大な映像を楽しみにしている」とペゴフは記している。

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騎兵VS殺人ロボット

だが、これまでに公開された「壮大な映像」はといえば、騎兵が平原を駆け抜けようとしてドローンで吹き飛ばされる場面ばかりだ。

ドローンはこの侵攻を事実上、膠着状態に陥らせた。何であれ、前線から数kmの範囲で移動するものはFPVドローンに発見され、おそらく攻撃を受けることになる。

ウクライナ軍のドローン操縦士たちは、馬を殺さざるを得ないことに心を痛めていると伝えられていたが、どうやら新たな戦術を編み出したらしい。最初の接敵では、操縦士はドローンを騎乗兵のそばに飛ばすだけで、馬を驚かせて兵士を落馬させる。落馬した兵士を2回目の接敵で攻撃し、馬が巻き添えにならないようにする、というやり方だ。

騎兵への移行はロシア軍の公式な方針ではなく、前線部隊による対応策のように見える。

ロシア軍事の専門家で、米海軍分析センター(CNA)や新アメリカ安全保障センター(CNAS)の顧問を務めるサミュエル・ベンデットは筆者の取材に「この戦争は急速に変化しており、実戦下の適応の奇妙な例を生み出しています」とコメントした。「わたしの考えでは、これはその場しのぎの適応であって、より広範な戦術や方針というものではありません」

一方で、北東部ハルキウ州クプヤンシク方面で1月4日にあったと報告されている事例を含め、騎兵突撃とみられる行動はいくつか知られており、いずれもドローンによって排除されている。ロシア軍騎兵の目撃例が増えていることは、即席の対処策と思われるこの戦術が広がりつつあることを示唆する。補給線が弱体化するにつれて、オートバイよりも馬のほうが入手しやすくなる可能性もある。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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