欧州

2026.01.13 13:00

27年までにロシア産ガス輸入の恒久停止を決めた欧州、目標を達成できるのか?

ギリシャ・アテネ近郊の港で米国産液化天然ガス(LNG)を荷揚げする様子。2025年12月27日撮影(Nicolas Koutsokostas/NurPhoto via Getty Images)

ギリシャ・アテネ近郊の港で米国産液化天然ガス(LNG)を荷揚げする様子。2025年12月27日撮影(Nicolas Koutsokostas/NurPhoto via Getty Images)

欧州連合(EU)はエネルギー市場の強化に向けた取り組みを進めている。EUは2026年末までにロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入を段階的に廃止し、27年秋までにロシア産パイプラインガスの輸入を完全に禁止する計画を発表した。EU首脳らはロシアと距離を置くことで、欧州のエネルギー安全保障を強化できると考えている。

EUのダン・ヨルゲンセン・エネルギー担当委員はX(旧ツイッター)に「ついに成し遂げた。欧州はロシア産ガスの供給を永久に停止する。われわれは欧州のエネルギー安全保障と自立の道を選んだ」と投稿した。

EUは近年、ロシア産天然ガスへの依存を減らす努力を進めてきた。22年2月のウクライナ侵攻開始以前、ロシア産天然ガスはEUのエネルギー輸入の半分近くを占め、EUの21年のロシア産エネルギー資源の輸入額は990億ユーロ(約18兆円)に達していた。ところが、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始すると、EUはロシアからのエネルギー資源の輸入を停止すると表明した。

筆者の取材に応じた米ペンシルベニア大学のベンジャミン・L・シュミット博士は、ウクライナ侵攻開始以降、EUはロシア産エネルギー資源への依存軽減に向け、驚くほど迅速な進展を遂げてきたと評価した。「しかし、EUはこれまでのところ、ロシア産エネルギー資源、特に天然ガスの輸入を完全に停止するという最終目標を達成できていない。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は20年近くにわたり、EU加盟国の民主主義の回復力と国家安全保障を弱体化させるために、天然ガスを武器として利用してきた」

EUは22年6月、ロシアからの海上輸送による原油と特定の石油製品の輸入を禁止した。それに続き、ロシア産原油と石油製品に対する価格上限を設定。23年2月にはロシア産石油製品の輸入を全面的に禁止した。

だが、これらの措置を施行することは困難だった。22年6月以降、EUはロシアからの原油輸入を停止しようとしているにもかかわらず、加盟国の一部はロシア産エネルギー資源に依存し続けてきた。中東の衛星テレビ局アルジャジーラの25年10月の報道によると、ハンガリーとスロバキアが欧州でロシア産原油を最も多く輸入していた。ロシア産LNGの欧州最大の輸入国は、ベルギー、フランス、オランダだ。これによりロシアは数十億ユーロの収入を得た。西側諸国はウクライナ侵攻を理由にロシアに制裁を科している一方で、こうしたエネルギー資源の取引によってロシア経済を助けている。天然資源の輸出は、ロシアがウクライナ侵攻で使用する武器や装備を購入するための資金源ともなっている。

他方で、ロシア産エネルギー資源への依存度を減らすEUの努力は一定の進展を遂げている。英ロイター通信が25年8月に報じたところによると、EUの原油輸入全体に占めるロシア産原油の割合は21年の29%から25年には2%に縮小した。EUの天然ガス輸入に占めるロシア産ガスの割合も21年の45%から25年には17%に縮小した。

米シンクタンク大西洋評議会で欧州のエネルギー安全保障問題を担当するオリガ・ハコワ副部長は筆者の取材に対し、次のように述べた。「欧州はロシアからのガス供給量を(ウクライナ侵攻開始前の)21年時点の1550億立方メートルから25年には370億立方メートル程度にまで削減した。わずか3年余りで、かつては想像もできなかったことを達成したのだ。すなわち、エネルギー供給源の根本的な転換だ。欧州が社会基盤の整備と代替供給源の確保に注力したことで、残る190億立方メートルのLNGと180億立方メートルのロシアからのパイプラインガスに代わる供給源の多様化に向けた道筋が開かれた」

だが、欧州がロシア産エネルギー資源の消費を減らす中、新たな疑問が生じている。欧州諸国はロシア産天然資源の輸入減少分をどのように補っているのだろうか?

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翻訳・編集=安藤清香

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