欧州

2026.01.13 13:00

27年までにロシア産ガス輸入の恒久停止を決めた欧州、目標を達成できるのか?

ギリシャ・アテネ近郊の港で米国産液化天然ガス(LNG)を荷揚げする様子。2025年12月27日撮影(Nicolas Koutsokostas/NurPhoto via Getty Images)

エネルギー輸入網を拡大する欧州

EUは米国産石油と天然ガスの輸入を増やすことで、ロシア産エネルギー資源の輸入減少によって生じた空白を埋めている。米国側もEU向け天然資源の輸出拡大に積極的だ。ドナルド・トランプ米大統領は25年7月、LNGを含む7500億ドル(約119兆円)相当の米国産エネルギー資源を3年間にわたって欧州に供給する方向で交渉を行った。米ニュースサイトのアクシオスは当時、米国からのLNG輸入はロシアからの輸入より費用対効果に優れているため、欧州にとっては米国との取引が重要だったと伝えた。これにより、EUが26年末までにロシア産LNGの輸入を段階的に停止する道が開かれた。米国とEUはこの取引を相互に利益をもたらすものとみている。米国産LNGは現在、EUのLNG輸入全体の半分以上を占めている。

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これについて、ハコワ副部長は次のように説明した。「25年には米国産LNGが欧州のLNG輸入全体の57%(ロシア産LNG輸入量の3倍)を占め、向こう5年間で米国の輸出能力は2倍以上に拡大する見通しであることから、米国の供給業者は欧州の需要を満たすのに十分な態勢を整えていると言える。これを実現するには確実な政策やインフラ整備、欧州ガス市場の統合を進めることが鍵となる」

他方で、欧州諸国は米国産エネルギー資源に過度に依存することを望まないため、米国との貿易関係では慎重な姿勢を保っている。EUは他の国々からも天然資源を輸入している。例えば、ノルウェーとアルジェリアは24年以降、EUにとって主要なガス供給国となっている。英国、カタール、アゼルバイジャンもEUにガスを供給している。

24年のEUのベネズエラからの輸入の70%は主に石油だったが、EUは翌年、同国からの石油輸入を削減した。現在のベネズエラ情勢を踏まえると、同国はEU向けの石油輸出を増やす可能性があり、EUのエネルギー供給源の多様化がさらに進むかもしれない。これについては、今後の情勢を見守る必要がある。

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先述のシュミット博士は次のように説明した。「ベネズエラの政治情勢が短期的または中期的にどの程度安定し、そのような好転が実現するかを評価するには時期尚早だ。あらゆる情報源から判断すると、エネルギー大手企業は再生したベネズエラの石油生産システムへの再参入や投資に消極的な姿勢を示している。したがって、EUの短期的なエネルギー安全保障計画には、ベネズエラからの石油輸入増加を想定すべきではない」

EUは石油・天然ガス供給網の拡大に加え、再生可能エネルギーへの投資を優先している。EU各国はロシアへのエネルギー依存を軽減するための別の選択肢として、風力タービンや太陽光パネルの設置を進めている。代替エネルギーへの段階的な移行により、欧州の二酸化炭素排出量は減少している。再生可能エネルギー設備の構築や維持は、雇用創出にも貢献している。シュミット博士は、エネルギー安全保障と国家安全保障の目標を支えるため、EUは再生可能エネルギー設備の導入を急速に拡大し続けるべきだとした上で、民生用原子力発電所の配備も推進すべきだと述べた。

EUが26年末までにロシア産LNGの輸入を段階的に廃止する計画は、野心的に思えるかもしれない。しかし、欧州は22年以降、石油・天然ガスの輸入元をロシアという単一の大規模供給国から世界中の国々へと多様化させてきた。EUは再生可能エネルギーの推進にも取り組んでいる。エネルギー資源の供給網を拡大し、代替エネルギーへの投資を進めることで、欧州のエネルギー安全保障は強化されている。エネルギー専門家や欧州政治の観測筋は、EUが今後目標を達成できるか否かを注視している。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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