米司法省が連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長に対する捜査を開始したことを受け、投資家の安全資産に対する志向が強まり、米国時間1月12日早朝に金と銀の価格は過去最高値まで上昇した。これらの貴金属は2025年に記録的な上昇を見せた後、今年に入って再び値を大きく伸ばした。
金価格は、米東部時間12日午前9時50分時点で約3%高の4613ドル強となり、この日早くには4630ドル台の過去最高値を付けた。
銀価格は同時点で84ドル台後半まで上昇し、12日早朝に付けた85ドル台半ばの過去最高値からはやや下げたものの、前日比では約7%上昇した。
貴金属の価格は2025年から上昇基調にあったが、アナリストの多くは12日の急騰について、パウエルが、FRB本部改修を巡る問題と自身の証言に関連して司法省から召喚状を受け取ったと明らかにしたことを受け、投資家が安全資産を求めた動きが主因だと指摘している。
「FRBへの介入が強まっていることは、2026年に向けた貴金属市場の強気材料として重要な不確定要素だ」と、ジュリアス・ベア・グループで次世代リサーチ部門を率いるカーステン・メンケはブルームバーグに語った。その上で、銀は市場規模が小さいため、「こうした懸念に対してより強く反応しやすい」と付け加えた。
マーケットパルスのアナリストであるザイン・ヴァウダはロイターに対し、今回の捜査は、FRBの独立性が「公然と争点化された」ことで、「投資家を実物資産へと向かわせている」と述べた。
司法省は、なぜFRBを捜査しているのか?
コロンビア特別区連邦検察局は、FRB本部の改修工事と、それに関する上院委員会でのパウエルの証言を巡り、彼に対する刑事捜査を開始した。パウエルは11日夜に公開した動画での声明で、刑事訴追を示唆する司法省からの召喚状を受け取ったことを認める一方、この捜査を「前例のない行動」だとし、FRBに対する政権の脅しや継続的な圧力という「より広い文脈の中で見るべきだ」と述べた。
ドナルド・トランプ大統領は11日、NBCニュースに対し、この捜査について「何も知らない」と否定しつつ、「彼はFRBでもあまり良い仕事をしていないし、建物を建てるのも得意ではない」と語った。今回の捜査は、利下げに積極的でないとして長年彼を批判してきたトランプとパウエルとの確執が、さらに激化したことを示している。
また、トランプがパウエルの後任となる次期FRB議長を指名する時期も迫っているが、現時点で彼は誰を選ぶのかを公表していない。トランプは先日、ニューヨーク・タイムズに対し、後任はすでに決めていると語ったものの、その具体名は明らかにしなかった。経済顧問のケビン・ハセットが有力候補とされるほか、元FRB理事のケビン・ウォーシュ、現FRB理事のクリストファー・ウォーラーも候補に挙げられている。



