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産業イノベーションと世界の自動車産業に関する執筆を担当。

dolgachov / Bigstock



アップルはEV自動車開発に本気のようだ。先週はじめ、ウォール・ストリート・ジャーナル紙はアップルが“プロジェクト・タイタン”と名付けた極秘のプロジェクトを推進し、自動車部門のエンジニアを3倍に増強。2019年のリリースを目指していると報道した。

これはずいぶんと大胆な計画のように思える。コンピューターやスマートフォンを作ってきたメーカーが自動車開発について、何を知っているというのだろう? 自動車業界は厳しく規制されているし、資本集約的で、部外者が認識しているよりもはるかに複雑だ。とはいえ、この業界は再発明にふさわしい時期でもあるし、だからこそグーグルやテスラが足場を築こうとしているわけだ。6月にもお伝えしたとおり、アップルが自動車ビジネスに踏み込む理由はいくつもある。

アップルカーは美しくデザインされ、直観的に操作できることは間違いないけれど、アップルにとって、本質は車そのものではない。iTunesが音楽の聞き方を変えたように、コンシューマーに“響く”、新しいドライビング・エクスペリエンスをどう創出するのかが大事なのだ。

では、アップルは一体、何を革新したいのだろうか。 Navigant Researchのアナリスト、サム・アブエルサミドはアップルがスマートフォンを販売する新しいアプローチにそのヒントがあると見ている。

今月はじめ、アップルはコンシューマーが12カ月ごとにスマートフォンをアップグレードできる新しい月額料金プランを発表した。アップルは、旧型のスマートフォンを回収して再生し、他のユーザーに再販する。これは、多くの自動車メーカーが行っている月額リースプログラムとそれほど大きな違いはない。

2年から3年ごとに、カスタマーは車を新しいモデルに乗り換えることができ、中古車は再生されて“認定中古車”モデルとして再販される。自動車業界にとって、リースプログラムは予測可能な循環型の収入をもたらす。さらに、カスタマーを定期的に最新型モデルの情報収集のためにショールームに呼び込むことができる。同様な理由でアップルはiPhoneのリースプログラムを導入したのだ。

しかし、アップルがこの月額モデルをZipcarやSilvercarのようなカーシェアリングサービスとして始めたら、何が起こるだろう。ここにきてようやく、アップルが本領を発揮することになるのだ。

「Silvercarが1日単位のレンタカー利用者をターゲットとするならば、アップルはNetflixのような月額・乗り放題型のアプローチをしかけると見ています。Silvercarが単一車種を揃えている一方で、アップルカーの場合はスペースグレイも、ホワイトも、ゴールドもローズゴールドも揃えられているでしょう。車が必要になったら、アプリから予約し、最寄りのステーションに車を取りに行けばいいのです」とNavigant Researchのアブエルサミドはブログで述べた。

EV車限定のカーシェアリングサービス、しかも、そこにはアップルのロゴがついているとなれば、アピール度は抜群だ。交通渋滞がひどく駐車場が少ない多くの都市で利用されるだろう。車体の利用率を増やせば、アップルは1台ずつ車を販売するよりも、明らかに大きな収益を手にできる。

アブエルサミドはさらに、どのようにそれが可能になるのか大まかなスケッチを描いて見せている。テスラのモデルSの場合、最低月額リース料金は838ドルだ。アップルが7万5000ドルもする高級車を生産するとは考えにくいが、ユーザーはアップル製品にはプレミアムを支払うことに慣れている。

であれば、月額750ドルは提示できるだろう。1台当たり10人のユーザーがいれば、アップルは年間で9万ドルを1車体ごとに得ることになる。これはかなり控えめな見積もりで、ほとんどのカーシェアリングサービスでは1台当たり100人以上のユーザーがいる。月額料金が500ドルだったとしても、1台当たり年間で6万ドルは得られる計算だ。

これは、妥当な計算に思える。しかし、なぜそうした事業モデルがアップルに限定されるのだろう。実際のところ、フォード・モーターやダイムラーAG、BMWなどもカーシェアリングサービスを提供する試みを行っている。従来の自動車メーカーもまた、単なるハードウェアの提供から、新たな移動手段の提供へ、ビジネスモデルを変えつつあるのだ。フォードのマーク・フィールズCEOはこう述べている。
「我々は次のノキアになりたいわけではないのだ」

アップルだって、きっと同じ考えのはずだ。

文 =ジョアン・ミュール(Forbes) / 編集=上田裕資

 

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